『HERO』(フジテレビ系 7月14日スタート 毎週月曜21:00~)がついに戻ってくる。2001年放送の連ドラは全話の視聴率が30%超、2007年の映画版も年間実写邦画1位を記録するなど、まさに国民的ドラマと言える。

また、マイナビ会員(男女500人の計1000人)に実施した「木村拓哉出演の好きな連続ドラマ」に関するアンケートでも、『ロングバケーション』『ビューティフルライフ』『GOOD LUCK!!』『眠れる森』などの名作を抑えて堂々の1位。

これまで木村拓哉はさまざまな職業のドラマをこなしてきたが、『HERO』はなぜそこまで突出した人気を集めているのか? 14日スタートの第2シリーズを前に、その魅力をおさらいする。

7月14日スタートの『HERO』でヒロインを務める北川景子

"熱いけどスキがある"キムタク王道キャラ

「何をしてもカッコよくなりすぎてしまう」木村拓哉だけに、「まっすぐで熱い」キャラだけでは、ますますカッコよくなりすぎて感情移入できない。そこで、これまでの作品では、「ピアニストだけど、落ちこぼれで貧乏」(ロングバケーション)、「デキる営業マンだが、昔の恋を引きずり、兄への劣等感が強い」(ラブジェネレーション)など、イケてない部分を分かりやすく絡めていた。

その最たるキャラが『HERO』の久利生公平。しきたりや周囲の声を気にせず、信念に基づいて熱く事件に向き合う一方、重度の通販オタクであり、担当事務官・雨宮を口説けないなどの"スキ"が目立った。また、検事なのにスーツではなく、ダウンジャケットとジーンズ姿というのも、等身大ヒーローとしてのシンボルアイテム。前回は冬ドラマだったが、夏ドラマとなる今回はどんな服装になるのか、こちらも注目だ。

検事ではありえない"おでかけ捜査"

実際の検事は扱う案件の多さから、事件現場に出向くことはほぼないが、久利生はおかまいなし。事件に大小優劣をつけず、殺人事件でも下着泥棒でも全力投球。自らの目と足で徹底的に調べて、判断を下している。

「検事が捜査する」というありえない設定は、まさにドラマならではのロマンであり、何より新鮮。さらに、「久利生が"おでかけ捜査"しているせいで負担を強いられる」同僚たちの姿がギリギリのリアリティを保ち、ありそうでなかった"検事エンタメドラマ"を見事に成立させた。

第2シリーズで久利生は、どんな現場を駆けめぐるのか。そのお出かけ先がユニークであるほど、型破りな検事・久利生の魅力が発揮されるだろう。

キレイに棲み分けされた支部メンバー

久利生のキャラと並んでドラマの大きな魅力となっていたのは、東京城西支部のメンバーたち。絵に描いたような堅物の事務官・雨宮(松たか子)、タレント弁護士への憧れを抱き「パパでちゅよ~」の愛息家検事・芝山(阿部寛)、被疑者をイジめるのが生きがいの毒舌検事・美鈴(大塚寧々)、東大卒のエリートで雨宮狙いの検事・江上(勝村政信)、テキトーな噂話と合コン好きの事務官・遠藤(八嶋智人)、超温厚で社交ダンス狂いの事務官・末次(小日向文世)、気が小さく胃薬が欠かせない部長・牛丸(角野卓造)に久利生を加えた8人が、ときにコミカル、ときに固い結束を見せるなど、息の合ったコンビネーションを見せていた。

今回は遠藤と末次の事務官コンビ、東京地検次席検事となった牛丸を除いて一新。新メンバーは、お嬢様風ながら元ヤンキー疑惑がある久利生の担当事務官・麻木(北川景子)、結婚相手も仕事を考えて選ぶ上昇志向の強い検事・田村(杉本哲太)、将来を嘱望されるルーキー検事・宇野(濱田岳)、アラフォーのバツイチ美人検事・馬場(吉田羊)、暴言と後悔を繰り返す小心者の部長・川尻(松重豊)、前シリーズで警備員だったが事務官として再登場の井戸(正名僕蔵)。いずれも演技派として知られるメンバーをそろえた。

誰一人同じキャラがいない上に、全員の見せ場がきっちり用意されているのは、『ガリレオ』『海猿』『DOCTORS』『龍馬伝』などヒット作を連発する脚本家・福田靖の腕によるものだろう。

「あるよ」とB級通販のオチ

第1シリーズで間違いなくアクセントになっていたのは、久利生いきつけの『St.George’s Tavern』。「いやいや、さすがにこれはないでしょ」というメニューでも作ってしまうマスター(田中要次)は第2シリーズでも健在で、「あるよ」以外の言葉を発するのかも気になるところだ。ちなみに、「店がもうかっていてデジタルダーツが2台増えた」という設定らしい。

また、店のテレビで放送されている「欧米風のアホみたいに明るい」通販番組も欠かせないポイント。第1シリーズでは、下半身を左右に揺らすダイエット器具『マーメイドスリム』、電話帳も切れる18本もの包丁セット『マジカルナイフ』、恋愛運を上げるモテ開運ペンダント『ミンキー』など、いかにもB級っぽい商品が多く、なかには実際にディノスで買えるものもあり、密かな反響を呼んでいた。

「当初は既存の通販番組をモチーフにして作っていたが、徐々に遊び心を加えてパワーアップさせた」というから、13年が過ぎた今回はさらなる進化が見られるかもしれない。どんな料理や通販グッズが飛び出すのか? シリアスな事件のときほど、そのバカバカしさが際立つ。

鍵を握るのはキムタクより共演者

『HERO』が木村拓哉主演ドラマの平均視聴率1位であり、前述のアンケートでも1位に輝いたのは、やはり共演者とのコンビネーションによるところが大きいのではないか。

実際、2000年前後のヒット作『ビューティフルライフ』『ラブジェネレーション』『GOOD LUCK!!』『プライド』などは、良くも悪くも"キムタクのためのドラマ"であり、共演者の顔や活躍が『HERO』ほど浮かんでこない。『安堂ロイド』『PRICELESS』『月の恋人』など近年の作品もしかりだ。

ただでさえ"脇役俳優ブーム"の今、木村拓哉だけがクローズアップされて責任を追わされる時代ではなくなった。「主要キャストたちが第1シリーズのような心地よいかけ合いを見せて、木村拓哉を盛り立てられるか?」、第2シリーズの人気継続はその一点にかかっているような気がする。

■「木村拓哉出演の好きなドラマ」ランキング
1位「HERO」(2001年フジテレビ系)…256票
2位「ロングバケーション」(1996年フジテレビ系)…192票
3位「GOOD LUCK!!」(2003年TBS系)…107票
4位「ビューティフルライフ」(2000年TBS系)…94票
5位「あすなろ白書」(1993年フジテレビ系)…80票
6位「華麗なる一族」(2007年TBS系)…70票
7位「ラブジェネレーション」(1997年フジテレビ系)…54票
8位「MR.BRAIN」(2009年TBS系)…48票
8位「安堂ロイド~A.I. knows LOVE?~」(2013年TBS系)…48票
10位「プライド」(2004年フジテレビ系)…43票
11位「眠れる森」(1998年フジテレビ系)…42票
12位「PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!~」(2012年フジテレビ系)…38票
13位「南極大陸」(2011年TBS系)…34票
14位「若者のすべて」(1994年フジテレビ系)…32票
14位「CHANGE」(2008年フジテレビ系)…32票
16位「ギフト」(1997年フジテレビ系)…20票
17位「空から降る一億の星」(2002年フジテレビ系)…17票
17位「月の恋人~Moon Lovers~」(2010年フジテレビ系)…17票
19位「エンジン」(2005年フジテレビ系)…16票
20位「その時、ハートは盗まれた」(1992年フジテレビ系)…14票
21位「フードファイト」(2000年日本テレビ系)…11票
22位「人生は上々だ」(1995年TBS系)…10票
23位「あぶない少年III」(1989年テレビ東京系)…7票
24位「好きなのに…」(1991年テレビ東京系)…3票
25位「協奏曲」(1996年TBS系)…2票

調査時期:2013年12月
調査対象:マイナビニュース会員
調査数:男女1,000人 複数回答可
調査方法:インターネットログイン式アンケート
■木村隆志
コラムニスト、テレビ・ドラマ評論家、タレントインタビュアー。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴する重度のウォッチャー。雑誌やウェブにコラムを提供するほか、取材歴1000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書は『トップ・インタビュアーの聴き技84』など。