『半沢直樹』の原作者・池井戸潤の作品が2本ラインナップされ、木曜21時にテレビ朝日とTBSが「刑事ドラマで真っ向勝負など、スタート前から大きな注目を集めた春ドラマ。視聴率に関しては明暗が分かれたが、期待を裏切らない力作ぞろいで、見逃した人にDVDやオンデマンドでぜひ見て欲しいものが多かった。では、どの作品のどこが優れていて、どこが残念だったのか? 「視聴率や俳優の人気は一切無視!」の連ドラ評論家・木村隆志がその理由に切り込み、ガチ採点する。

『ルーズヴェルト・ゲーム』で主演を務めた唐沢寿明

【ポイント1 制作陣が魂を込めた名作ラッシュ】
今クールは、演出・脚本・演技の3拍子そろった作品が多かった。なかでも『ルーズヴェルト・ゲーム』『BORDER』『ロング・グッドバイ』『ブラック・プレジデント』『続・最後から二番目の恋』の5本は、現場の熱やこだわりが伝わる名作。「いかにも連ドラらしい」、あるいは「連ドラの枠を超える」クオリティだった。

さらに、現在の視聴者ニーズに応えたキャスティングと演出が光る『花咲舞が黙ってない』、逆に残虐シーンや煙草などのタブーに切り込んだ『MOZU』、古い原作を掘り越し大野智のキャラを生かした『死神くん』にハマった人も多かったのではないか。

実際、約半数が最終回で大幅に視聴率を上げてフィニッシュした。このことは、「録画で見たり、何話か見逃したりしたけど、最終回はぜひリアルタイムで見よう」という人が多かったのだと推測できる。

私は毎クール全てのドラマを見続けているが、ここまでの名作ラッシュは珍しい。これは昨年『あまちゃん』『半沢直樹』が大ヒットしたことで、制作現場に「視聴率やコンプライアンスばかりを気にせず、思い切り作りたいものを作ろう」というムードが生まれたから、ではないか。

【ポイント2 唐突に訪れたテレ朝の刑事ドラマ離れ】
最も驚かされたのは、『相棒』の成功以来『遺留捜査』『警視庁捜査一課9係』『臨場』などのヒット作を連発し、勝ちっ放しだったテレビ朝日の刑事ドラマがコケたこと。初回、2回放送終了の段階では、管理官の活躍を描いた王道の『TEAM』、満を持しての第2弾『刑事ドラマ110キロ』、小栗旬で若年層開拓を狙った『BORDER』がすべて1ケタ視聴率に終わっていた。

その後『BORDER』は作品のクオリティが評価されて2ケタに乗せたが、残りの2作は話題にすらならない惨敗。ただ、『ホワイト・ラボ』(TBS)と『SMOKING GUN』(フジ)は全話1ケタ視聴率、『ビター・ブラッド』(フジ)と『MOZU』(TBS)も2ケタがやっとの状態であり、「テレビ朝日」というより、「刑事ドラマ全体が飽きられた」感が強い。今後は『BORDER』のような練られた設定と脚本を用意しなければ厳しいだろう。

【ポイント3 壮絶な枠バトルの勝者は?】
前述した木曜21時の『MOZU』(TBS)VS『BORDER』(テレビ朝日)の刑事ドラマバトルは壮絶を極めた。評判・視聴率ともに序盤は『MOZU』の圧勝。映画スケールの映像と豪華俳優のシリアスな演技で、「今までのドラマとは違う!」という絶賛を受けた。しかし、徐々に『BORDER』の高品質に気づきはじめた視聴者が絶賛の声を上げ、視聴率も急上昇。両作品とも「単なる刑事ドラマ」ではなかったことがウケてか、最後まで勝敗はつかず、「どちらが上か?」の議論を呼んでいた。

そしてもう一方のバトルは、火曜22時の『なるようになるさ』(TBS)、『ブラック・プレジデント』(フジ)、『サイレント・プア』(NHK)の三つどもえ。ここまで集中すると、予想通り全滅……。橋田壽賀子の脚本でも、沢村一樹が変人を熱演しても、NHKこだわりの枠『ドラマ10』でも、1話として視聴率が2ケタを超えることがなかった。ドラマは他ジャンルよりも視聴率で叩かれることが多いだけに、不毛なバトルをやめるよう、編成の再考を望みたい。

今クールの最優秀作品に挙げたいのは、「『半沢直樹』の二番煎じ」と揶揄されながらも、ダイナミズムのあふれる演出で熱い演技を引き出した『ルーズヴェルト・ゲーム』。当初、批判の対象になっていた主人公の上から目線も、全ては感動のフィナーレにつなげるため。ラストのカタルシスは出色であり、“1クールの連ドラ”ならではの魅力を再認識させてくれた。

オリジナル作品への情熱を静かなトーンでまとめた『BORDER』が双璧。一話完結というトレンドを踏まえつつ、脚本・演出・キャストの全てで意欲的なトライが見られた。両作品とも昨今の“行き過ぎた勧善懲悪ブーム”に待ったをかける文句なしの名作。年齢性別を問わず楽しめるドラマに仕上がっていた。

一方、ウラ最優秀作品は、『弱くても勝てます』。設定とキャストの不相性、野球ファンを敵に回すような脚本と演出など、放送前の期待を大きく裏切ってしまった。『刑事110キロ』は倒叙モノの命であるセリフの応酬が消化不良。『極悪がんぼ』は裏社会の描き方が浅く、各キャラの人柄、各話の結末、そして視聴率にも救いがなかった。

【最優秀作品】『ルーズヴェルト・ゲーム』 次点-『BORDER』『ロング・グッドバイ』
【最優秀演出】『ロング・グッドバイ』 次点-『MOZU』
【最優秀脚本】『BORDER』 次点-『ブラック・プレジデント』
【最優秀主演男優】小栗旬(『BORDER』) 次点-沢村一樹(『ブラック・プレジデント』)
【最優秀主演女優】上野樹里(『アリスの棘』) 次点-沢尻エリカ(『ファースト・クラス』)
【最優秀助演男優】池松壮亮(『MOZU』) 次点-吉田鋼太郎(『MOZU』)
【最優秀助演女優】波留(『BORDER』) 次点-小雪(『ロング・グッドバイ』)
【優秀新人】工藤阿須加(『ルーズヴェルト・ゲーム』) 門脇麦(『ブラック・プレジデント』)
【ウラ最優秀作品】『弱くても勝てます』 次点-『刑事110キロ』『極悪がんぼ』

以下各作品のひと言コメントと採点(3点満点)

『ホワイト・ラボ~警視庁特別科学捜査班』月曜20時~ TBS系

出演者:北村一輝、宮迫博之、谷原章介ほか
寸評:同枠には珍しいオリジナル作品で勝負した意欲作だが、フジの水曜22時と"科捜研かぶり"で共倒れに。「ひとクセあるメンバーのキャラ設定はステレオタイプな変わり者ばかりで、捜査一課との争いなど警察内部でのせめぎ合いもほとんどなく、刑事モノの醍醐味は薄め。毎話ラストで無理矢理感動に落とし込もうとするパターンは、20時の枠だけに仕方なしか。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆ 視聴率☆ 総合☆】

『極悪がんぼ』 月曜21時~ フジ系

出演者:尾野真千子、椎名桔平、三浦翔平ほか
寸評:脚本、演出、演技、どれもそれなりにまとめていたが、極悪というほどの怖さも人間ドラマもなし。尾野の演技は想定内としても、小林薫、三浦友和らそうそうたる名優を生かし切れなかったのは残念。前期に放送された『闇金ウシジマくん』との比較も悪い方向に働いた。黄金期の恋愛から真逆のベクトルに舵を切ったが受け入れられず、月9の未来が見えない。
採点:【脚本☆ 演出☆ キャスト☆☆ 視聴率☆ 総合☆】

『ビター・ブラッド』 火曜21時~ フジ系

出演者:佐藤健、渡部篤郎、忽那汐里ほか
寸評:良くも悪くも80~90年代風のクラシックかつライトな刑事ドラマ。各キャラのコミカルな演技とカッコよさがほどよく、アクションシーンも多いため、事件モノのシリアスさを感じさせなかった。乱立する刑事ドラマの中で差別化はできていたが、事件の質や解決方法が淡泊なだけに、第2弾は飽きられるリスクも。脚本を練り上げて男性ファンを獲得したい。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆ 視聴率☆☆ 総合☆☆】

『ブラック・プレジデント』 火曜22時~ フジ系

出演者:沢村一樹、黒木メイサ、国仲涼子ほか
寸評:時事ネタであるブラック社長を名作『結婚できない男』風に仕立て上げた味わい深い作品。沢村は社員と大学生を相手に堂々と振る舞い、クセの強い難役を起用にこなした。心に突き刺さる"変人の正論"を散りばめた尾崎将也の脚本はハイレベルで、「感動からのブラック発言+高笑い」という演出も分かりやすい。視聴率の大不振は、単なるPR不足と思いたい。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆☆ 視聴率☆ 総合☆☆☆】

『サイレント・プア』 火曜22時~ NHK

出演者:深田恭子、桜庭ななみ、北村有起哉ほか
寸評:地味だが社会的意義がありそうな題材にトライした姿勢は立派。丁寧な取材のもとに作られた脚本にも好感が持てるが、イマイチ印象に残らないのは、問題解決への落とし込み方が精神論過ぎたからか。最終回の「豪雨にのまれながらも、手をつないで助かる」というシーンが美談すぎる演出を象徴していた。渋いキャストでリメイクしたら、グッとよくなりそう。
採点:【脚本☆☆ 演出☆ キャスト☆ 視聴率☆ 総合☆】

『なるようになるさ。』 火曜22時~ フジ系

出演者:舘ひろし、浅野温子、泉ピン子ほか
寸評:長すぎるセリフ、浅野の過剰演技、今どきの若者描写など、ツッコミどころ満載。橋田寿賀子が手がける同作は、60~70年代のホームドラマと相通ずるものがあり、ドラマ文化の1つとして楽しむのなら悪くない。従業員たちの抱える問題にさほど深刻さが感じられないのも、癒し系ドラマと言われるゆえんだ。ただ、全ての俳優が大根に見えてしまうのはなぜか。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆ 視聴率☆ 総合☆】

『TEAM -警視庁特別犯罪捜査本部-』 水曜21時~ テレ朝系

出演者:小澤征悦、西田敏行、田辺誠一ほか
寸評:"管理官の策士ぶり"にクローズアップした王道さを嫌ってか、評判も視聴率も低迷。それもそのはず、肝心の策や事件エピソードに驚きや新鮮味がなく、どこかの刑事ドラマで見たものが多かった。また、冷酷に「あなたたちは駒」と言い放つ小澤の四面楚歌ぶりがそれほどではなかったため、そのキャラは際立たず。『相棒』に代わる新たな金脈とはならなかった。
採点:【脚本☆ 演出☆ キャスト☆☆ 視聴率☆ 総合☆】

『花咲舞が黙ってない』 水曜22時~ 日テレ系

出演者:杏、上川隆也、生瀬勝久ほか
寸評:「リアリティよりもエンタメ」の姿勢を貫き、国民的女優に近づく杏の人気もあって、視聴率は高め安定。毎週同じ時間に悪を成敗する時代劇形式だったが、主人公を"立場の低い女性"にしたことで、見事に共感を得た。ただ、一話完結の薄いストーリーであり、「お言葉を返すようですが」は流行語にならず。原作にはない相馬と父親のかけ合いはよいアクセントに。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 視聴率☆☆☆ 総合☆☆】

『SMOKING GUN~決定的証拠~』 水曜22時~ フジ系

出演者:香取慎吾、西内まりや、谷原章介ほか
寸評:序盤に気になった決めゼリフやドーナツなどのマンガ的演出は影をひそめ、終盤は一転してミステリー&サスペンスモードに。しかし、そのシリアスさがバラエティの顔が色濃い香取との乖離につながってしまった。恋人の死も最後まで引っぱるほどのエピソードではなく、犯人が自殺するなど寂しいエンディングに。西内や谷原など、脇役の活躍も消化不良だった。
採点:【脚本☆☆ 演出☆ キャスト☆☆ 視聴率☆ 総合☆】

『刑事100キロ』 木曜20時~ テレ朝系

出演者:石塚英彦、高畑淳子、中村俊介ほか
寸評:倒叙モノにモデルチェンジして見やすくなった一方、『古畑任三郎』のような主人公のネチっこい追い込みが足りず。人なつっこい笑顔とぽっちゃり体形とのギャップを見せるためにも、突き抜けるべきだったのではないか。会話の応酬をする犯人も骨のある人物が少なく、スタンダードな謎解きも含め、詰め切れなかった印象。実際、第1弾から視聴率がほぼ半減した。
採点:【脚本☆ 演出☆ キャスト☆ 視聴率☆ 総合☆】

『MOZU Season1~百舌の叫ぶ夜~』 木曜21時~ TBS系

出演者:西島秀俊、香川照之、真木よう子ほか
寸評:暴力、テロ、喫煙……「トレンドやコンプライアンスなんて知らねえ!」という姿勢で、圧倒的な映像美を追求。現場の執念が伝わってくるようなシーンの数々は、明らかにドラマの枠を超えていた。ただ、登場人物の相関や謎解きに至る展開は、不自然かつ不親切。分かりにくさとテンポの遅さで視聴者は裏番組に流れた。
採点:【脚本☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆ 視聴率☆☆ 総合☆☆】

『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』 木曜21時~ テレ朝系

出演者:小栗旬、遠藤憲一、古田新太ほか
寸評:クールでダークな世界観と、金城一紀の変幻自在な脚本が高次元で融合。1話完結の気軽さと、連ドラならではの見ごたえを両立させ、右肩上がりで支持を獲得した。最終回のラストシーンは、「予定調和を許さない」スタンスの象徴。情報屋やハッカーのキャラも含めて、全てのピースがガッチリ。中高年の固定ファンが多い枠に小栗を起用した博打に見事打ち勝った。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 視聴率☆☆ 総合☆☆☆】

『続・最後から二番目の恋』 木曜22時~ フジ系

出演者:小泉今日子、中井貴一、飯島直子ほか
寸評:第2弾で小泉と中井の絶妙なかけ合いはバージョンアップ。ただ、伝わってくるのは、恋愛というよりも、アラフィフならではの物悲しさ。笑顔や後ろ姿、何気ないセリフからジワジワ感じさせられた。小泉のファッション、鎌倉の景色など大人女性誌のような楽しみも健在。家族シーンを増やして各キャラの背景を掘り下げるなど、シリーズ化への布石も打った。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 視聴率☆☆ 総合☆☆☆】

『マルホの女~保険犯罪調査員~』 金曜20時~ テレ東系

出演者:名取裕子、麻生祐未、宇梶剛士ほか
寸評:名取&麻生のコンビが生き生きと事件解決。おっさんからイケメンまで、男ばかりの刑事ドラマが多い中、女性がこれだけ活躍してくれるとハッピーエンドがより爽快に。結末を感動に落とし込むようなサッパリ感も、2人のキャラにフィット。名取の豪華な衣装も、主婦たちの見どころになっていた。『三匹のおっさん』に続き、熟年俳優が活躍する枠として定着したか。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 視聴率☆ 総合☆☆】

『アリスの棘』 金曜22時~ TBS系

出演者:上野樹里、中村蒼、オダギリジョーほか
寸評:序盤は『ハングマン』ばりの"1話完結お仕置きモノ"だったが、こらしめる人物が足りないのか、途中から次々に人が死ぬ2時間ドラマのような展開に。最も身近な人が黒幕というありがちな結末も含めて、徐々に脚本の粗さが現れた。ひさびさの民放ドラマ主演でハマリ役を得た上野は今後ダークな役柄が増えるかも。復讐ドラマでは数字が取れない時代になった。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 視聴率☆☆ 総合☆☆】

『死神くん』 金曜23時15時~ テレ朝系

出演者:大野智、桐谷美玲、菅田将暉ほか
寸評:各話でエピソードの濃さにバラつきはあったものの、命を考えるシリアスと、ユルいコメディのバランスがいい塩梅。「自分の主張をせず、一歩引いた目線から見守る」という死神のスタンス通り、肩の力を抜いて見られた。その反面、話を重ねるたびに、監死官や悪魔との絡みや、感動狙いの結末が定番化。大野の器用さと人気は健在だが、そつなくまとめた印象が強い。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 視聴率☆☆ 総合☆☆】

『弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望』 土曜21時~ 日テレ系

出演者:二宮和也、福士蒼汰、有村架純ほか
寸評:野球作なのか群像劇なのかテーマがあいまいで、「秀才が頭を使って勝つ」という設定ディテールも薄味。加えて小学生以下のプレーに、ラグビースコアの試合など野球シーンの雑な扱いに男性はついていけず。女性向けのイケメンモノに留まった。最後の語りなど二宮を目立たせる演出もあざとく、「ノンフィクションの良作がドラマ化失敗」と言われても仕方なし。
採点:【脚本☆ 演出☆ キャスト☆ 視聴率☆ 総合☆】

『ロング・グッドバイ』 土曜21時~ NHK

出演者:浅野忠信、綾野剛、小雪ほか
寸評:ハードボイルドの名作に挑んだ意欲は映像や音楽に反映され、最後まで美しく情緒的。自分の生き方を貫く主人公は極めて前時代的だが、それがむしろ新鮮で、どんでん返しの結末とともに強い印象を放った。海外の作品を1950年代の日本でリメイクし、2020年の東京五輪でラストを飾る計らいも心憎い。予算と日程に余裕のあるNHKならではのクオリティだった。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 視聴率☆ 総合☆☆☆】

『ファースト・クラス』 土曜23時10分~ フジ系

出演者:沢尻エリカ、中丸雄一、佐々木希ほか
寸評:沢尻、佐々木、菜々緒らとファッションを楽しむビジュアルドラマではなく、"マウンティング"というテーマがハマった。ただ、徐々に好評だった心の声やランキングが途中からおまけ扱いになり、昼ドラを思わせる急展開とドロドロ劇に。もっと「ホメながら『私の方が上よ』と印象づける」女性同士の争いにクローズアップしていたら、大きな話題になったかも。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 視聴率☆☆ 総合☆☆】

『ルーズヴェルト・ゲーム』 日曜21時~ TBS系

出演者:唐沢寿明、檀れい、江口洋介ほか
寸評:会社経営と野球部の2つをカットバックで見せる挑戦は、見事に成功。テンポよく、飽きさせることなく展開が連動していた。最終回は『半沢直樹』で見られなかった大団円。「やはりドラマはこうでなくては」と思わせるラストシーンを提供した。単なる勧善懲悪ではなく、経営陣と野球部員の成長を描き、努力で成功や絆を勝ち取る作風は、もっと評価されてもいい。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 視聴率☆☆☆ 総合☆☆☆】

■木村隆志
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ評論家、タレントインタビュアー。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴する重度のウォッチャー。雑誌やウェブにコラムを提供するほか、取材歴1000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書は『トップ・インタビュアーの聴き技84』など。