よく文書で目にする「意向」と「所存」。読んでいる内は気にならないのですが、いざ自分が文書を書くとなると、果たしてどちらを使うのが正しいのか…と悩んでしまうことがあります。「意向」と「所存」の違い、そして使い方についてをご紹介いたします。

■意向ってどういう意味?

「意向」は心の向かうところという意味がある言葉で、どうするつもりかという考えや思惑を指して使われる言葉です。そのため「先方のご意向」、「政府の意向を受け」、「上司の意向を踏まえ~」等、意向の前には「誰の考えや思惑か」をあらわす言葉が入ります。自分や自分を含めたものの考えをあらわす時にも、「私の意向」「私どもの意向」等、使われることもあります。

■所存ってどういう意味?

「所存」は心の中の思いや考え方を指す言葉で、目上の人にへりくだって、自分の思いを話す時によく使われます。また「○○していく所存です」等、目上の人に対し、自分自身の決意表明をする時にもよく使われています。目上の人の気持ちを伺う時に「御所存を伺いたい」「いかなる御所存でしょうか」等、使われることもあります。

■意向と所存、どう違う?

意向と所存は、どちらとも心の中や思いを表す言葉ですが、「所存」は相手にへりくだり、自分の心の内を話す時の「○○して参る」や「○○いたす」という謙譲語と共に使われることが多く、目上の人に対して使われることが多い言葉です。意向は自分や相手の心向きを指す時に使われるため、目上、目下の立場に関わらず使われることが多いようです。

■意向と所存の例文集

(意向) 「再度ご意向をお伺いしたく、ご連絡いたしました」 「ご意向には添いかねます」 「ご意向に添う形で調整いたします」

(意向)自分や、自分を含めたものに対して使うとき 「こちらの意向を○○様にお伝えいたしました」 「○○様は私の意向を尊重してくださいました」 「私の意向として、要望書を提出するつもりです」

(所存) 「今後も鋭意努力してまいる所存です」 「決意を新たに取り組む所存です」 「より一層の向上を目指す所存です」 「精いっぱい、努力いたす所存です」

「意向」と「所存」は、意味はよく似ているものの、使い方はまた異なります。意味の違いとともに使い方を知っておけば、文書を作る時間が少しは省けるかもしれません。「意向」や「所存」だけでなく、ぜひちょっとした言葉の違いや使い方を、日頃からチェックしてみてくださいね。