日本教育文化研究所は、「急速なグローバル化が進む社会状況の中においての子供への言語教育、日本の伝統、文化、歴史を伝えて行くことや、外国に向けて紹介したい伝統・文化等に関する意識調査」の結果を発表した。同調査は幼稚園児・小学生・中学生・高校生の子供を持つ男女1,000人を対象として実施したもの。

授業以外で、国語や算数を学習している子どもが多い

小学校低学年では「今後道徳を学習してほしい」が高ポイントに

調査の結果、全体の6割が学校教育以外での学習で「国語」「算数(数学)」を学んでいた。対して「英語」を学んでいる人は4割にとどまった。特に小学生の時には外国語よりも国語の方がポイントが高かったが、「外国語」は小学生~中学生で学年が上がるほど学習率が高くなり、中学生では7割が学校教育以外でも学んでいた。

「今後学習してほしい教科科目」については、「国語」(83.5%)、「算数(数学)」(85.6%)、「外国語」(81.9%)が上位項目となった。小学校低学年においては、「算数」(92.4%)、「国語」(91.2%)、「保健体育」(74.7%)に次いで「道徳」(67.6%)がランクインした。

小学校での英語教育については多くが人が賛成

小学校からの外国語授業を望む人が多い

「小学校における外国語、英語教育の早期授業化」については多くの人が賛成しており、「グローバル化時代に対応するため、異文化と対話する力を育てる必要があるから」「小学校での柔軟な適応力を活かし、外国の人とのコミュニケーション能力を育成する必要があるから」「中・高等学校との連携を踏まえ、小学校段階から英語などの外国語に慣れ親しむ必要があるから」が上位3項目となった。対して反対の理由としては「国語力の育成を優先させるべきだから」などがあがった。

英語については、「これからの社会では英語は最低限必要なスキル」(76.3%)、「早い段階で生きた英語にふれさせる」(71.3%)、「苦手意識や抵抗感をなくす」(78.4%)、という意見が多かった。

また「現行の学校教育だけで十分だと思う」は16%と総じて低いながら、英語教育を子供が小さい頃から学ばせるのは「親の義務である」は36.2%とさほど高くはなく、また「多少費用が高くても英語教室に通わせるべき」と答えたのは24.4%だった。

子どもの言葉遣いが気になっても、正しく指導できる人は少ない

「言葉遣い」については、63%が「子どもの言葉遣いが気になる」とした。しかし親として「指導できている」と答えた人は25%程度にとどまり、35%は「指導できていない」と感じていることがわかった。

「わが国の伝統や文化、歴史を伝えて行く」は85%が「重要」

日本の歴史や伝統、食文化などを伝えたいとする人が多い

「わが国の伝統や文化、歴史を伝えて行くこと」については、85%が「重要」と回答。特に伝えて行きたいものとしては、「着物や日本食などの衣食住の文化」(87.6%)、「わが国の歴史的変遷や文化」(87.6%)、「祭りや行事等の地域の方々が継承してきた地域の伝統」(83.9%)などがあがった。

また、賛成度については89%の人が賛成しており、「日本人である以上、当然の義務だから」「日本にしかない素晴らしい伝統文化はなくしてはいけない」「日本の良さ、素晴らしさを認識するべき」などの意見があがった。

「言葉遣いが正しい」「わが国の文化を伝えるのにふさわしい」は?

池上彰がともに1位

「正しい言葉遣いをしている著名人」「わが国の伝統・文化、歴史を海外の人、または後世に伝えるのにふさわしい著名人」を聞いたところ、ともに1位は「池上彰」だった。

「言葉遣いが正しい著名人」については、2位がフリーアナウンサーの「滝川クリステル」、3位が「アナウンサー(人名なし)。「日本の伝統・文化などを伝える著名人」は「ビートたけし」「市川海老蔵」「タモリ」などがあがった。