小田急電鉄は30日、通勤車両1000形のリニューアルに着手すると発表した。省エネ化と車内空間の快適性向上がおもな内容。ワイドドア車36両を除く160両が対象で、今年度は2編成8両でリニューアルを実施。12月から運用を開始するとしている。

小田急電鉄の通勤車両1000形

リニューアル後の内装イメージ

通勤車両1000形は1988年に導入された小田急初のオールステンレス車両。モーターのVVVF制御方式を初めて採用した車両で、196両が在籍している。

今回のリニューアルでは、制御装置に世界で初めて大容量フルSiC(炭化ケイ素)を適用した直流1,500V架線対応のVVVFインバーター(直流を交流に変換し、モーターを効率よく制御する装置)を採用。これにより、制御装置を従来より約80%小型・軽量化するとともに、ブレーキ時の回生電力量も大幅に向上。現行の1000形に比べて定員時約20%、最大約36%の省エネが実現できるという。加えて、190kW高効率全密閉モーターの採用により、さらなる省エネルギー化と低騒音化を図る。

冷房能力は約8%アップするが、コンプレッサーの改良により振動を抑えることで、騒音は低減。オゾン層を破壊しない新冷媒に変更することで環境にも配慮する。乗車率に応じた風量調整が可能な送風機も採用するとのこと。

混雑時に少しでもさわやかに過ごしてもらうため、天井、座席、壁面などを明るい色調へと変更するとともに、座面を1人あたり最大13mm拡幅する。床面には、小田急として初めての導入となる傘などのすべり止め板を新設。先頭車両には車いすスペースも新設するという。