しまなみ海道がサイクリストの聖地なら、大山祇神社はサイクリストの神様!?

全国1万326社の大山積神をまつる総本社である愛媛県今治市の「大山祇(おおやまづみ)神社」は、全国の国宝・重要文化財の指定を受けた武具甲冑類の約8割を「大山祇神社国宝館」に有する神社として知られている。また同時に、サイクリストなら一度は絶対訪れるべき神社でもあるのだ。

武将たちが祈願に訪れた地

まず、なぜこの地にこれほどの武具類が納められているのか。それはこの神社が位置する地理的な事情と、この地が歩んできた歴史が一因となっている。

大山祇神社がある大三島は古くから瀬戸内海交通の要衝となっており、今日ではサイクリストの"聖地"とも称される、広島県尾道市から愛媛県今治市まで続く「瀬戸内しまなみ海道」の中間地点でもある。特に瀬戸内海は源平合戦の主戦場となった地。武将たちが戦勝祈願と戦勝のお礼にここを訪れていたという。

大山祇神社国宝館に保存されている武具類は、小物類を含めると数万点に上る。中には、源義経が瀬戸内の合戦で勝利を収めて奉納したという赤絲威鎧(あかいとおどしよろい)や、源頼朝奉納の紫綾威鎧(むらさきあやおどしよろい)などという、歴史の主要人物ゆかりの品も収蔵されている。

総門の両サイドには、猛々しい像が待ち構えている

「かんやどり」に納めるお守り

お土産にもぴったりな「ヘルメット守」(200円)

冒頭で触れた、サイクリストなら一度は絶対訪れるべきという理由もここに起因する。武士たちは戦場で冠る兜鉢の中央の孔を「かんやどり」と呼び、神が宿る神聖な場所として呼んでいた。かつての兜のお守りを現代人に照らし合わした「ヘルメット守」が、この神社にはあるのだ。

「ヘルメット守」は、縦5cm、横1.5cmという小さなお守り。裏には粘着シートが張られているので、そのままヘルメットの裏に貼ることができる。お守りの説明には、「現代の戦場とも呼ぶべき各種職場に於いてまた、自転車、オートバイなどに乗る人々が自らの身を守るため冠るヘルメットの『かんやどり』を大切にそして皆様の操業安全交通安全をお祈りします」と記されている。

かつての武士たちを守ってきた神社で、今日の安全をお祈りさせてもらう。日本人として、ちょっと身が引き締まる想いがしてきそうではないだろうか。

辛口のおみくじ、あなたはいかに!?

また、境内には国の天然記念物「大山祇神社のクスノキ群」があり、大山祇神社国宝館のほか、昭和天皇の研究を展示した「海事博物館」も併設されている。そして、ちょっとした運試しにおみくじを引いてみてはいかがだろうか。この神社、ちょっと"辛口"なことでも有名なよう。

取材時は総勢20名で神社を訪れたのが、凶を引いてしまったのは5名。今回の確立で言うと、4分の1で凶が出てしまったということになる。余談だが筆者は2014年、東京都・浅草の「浅草寺」でも凶を引いてしまった。本年は今のところ2/2で凶なのだが、自転車でも交通安全を、そして、日々の生活でも心がけを大切にして過ごすことをここで誓うこととなった。

天然記念物「能因法師 雨乞の楠」は、樹齢3,000年という日本最古の楠

大山祇神社のおみくじはちょっと"辛口"なのだが、大吉の人も多数いたのでご安心を!

●infomation
大山祇神社
愛媛県今治市大三島町宮浦3327

※記事中の情報・価格は2014年3月取材時のもの