ANAは3月30日の羽田空港発着枠拡大に伴い、国際線ネットワークを現在の10路線13便から17路線23便に拡大する。この拡大は地方空港から国際線への乗り継ぎの利便性向上のみならず、訪日外国人に日本、そして同社をアピールできる絶好のチャンスとなる。そのいま、同社が始めようとしている取り組みがプレスに披露された。

「ANAスイートラウンジ」内のレストラン「DINING h」では、シェフが常駐してフルコースを振舞う

24時間空港の羽田に欠かせないラウンジ

「羽田・成田の首都圏ネットワークの拡大とサービス品質の向上を両輪として、世界に支持される航空会社を目指す」という篠辺修代表取締役社長の言葉を裏打ちするサービスは、大きく分けて2つある。ひとつはラウンジ新設と拡大、もうひとつは乗り継ぎ専用の無料バスだ。

現在、同社は国際線ターミナルにファーストクラス・ANAダイヤモンドサービスメンバーが利用できる「ANAスイートラウンジ」と、ビジネスクラス・ANAプラチナサービスメンバーが利用できる「ANAラウンジ」を1カ所ずつ展開している。3月30日からはこれらのラウンジを拡大するとともに、両ラウンジをひとつずつ新設。全部で4つのラウンジがそろうことになる。

新設された「ANAスイートラウンジ」黒を基調とした現在のラウンジに比べ、木目の温もりを感じさせるデザインとなっている

特に「ANAスイートラウンジ」では、国内キャリア初の試みとなるシェフ常駐でサービスを提供。従来のビュッフェに加え、和洋6種類のフルコースをサーブするレストラン「DINING h」が登場する。これは、深夜便を利用する乗客を意識したサービスとなっており(19:30~24:30)、ラウンジで料理を心行くまで堪能し、機内ではぐっすり休んでほしいという想いが込められている。

機内でゆっくり休むために、ラウンジで極上の料理をシェフがもてなす

また、パートナーと同社のシェフからなる、「THE CONNOISSEURS(ザ・コノシュアーズ)」がプロジュースするコラボレーションメニューを、「ANAスイートラウンジ」でも提供。3月30日からは、ピエール・エルメ・パリ監修の「クロワッサン」と、レストランWakiya監修の「WAKIYA特製ピリッと辛い担々麺」が登場する。スープによく絡む中細麺の担々麺は、自家製ラー油の辛みをピリッと山椒(さんしょう)がしめ、小腹を満たすにもちょうどいい。

ローズが香り、フランボワーズの酸味が生きた「クロワッサン」

「WAKIYA特製ピリッと辛い坦々麺」には、豚・鶏ガラスープに自家製ラー油をプラス

ラウンジでは様々料理がそろっているが、特に和食のラインアップを充実させている

最短・最速で乗り継ぐために

もうひとつのサービスであるANA乗り継ぎバス「ANA HANEDA CONNECTION」は、同社が国際線を運航する時間帯(05:30~23:30)に、10~15分間隔で運航する。

現状、羽田空港における国際線と国内線の乗り継ぎでは、一旦ターミナルの外に出て、空港ビル会社が運営する無料連絡バスや公共交通機関を使用しなければならない。しかし、ANAのバスを利用すれば、最短距離を15分という最短時間で移動ができるようになる。なお利用対象は、第2ターミナル発着のANA国内線(コードシェア便を含む)と国際線を乗り継ぐ人となっている(帯広空港、壱岐空港を除く)。

ターミナルで迷うことなく、最短の乗り継ぎをサポートする「ANA HANEDA CONNECTION」

日本で唯一の「5スター」

羽田に関してはこの3月30日より、路線・サービスとともに大幅な充実化がはかられる。来年は成田に視点を移すことで成田と羽田の2つのハブを生かし、アジアや欧州を重要視した展開を進めていくと、篠辺氏はコメントしている。

折りしも、ANAは英SKYTRAX(スカイトラックス)社が運営するエアライン・スター・ランキングで、2013年に引き続いて2014年も、最高評価「5スター」を獲得した。「5スター」認定を受けているのは国内ではANAだけであり、今後も高い水準での展開が求められる。

左から英SKYTRAX社のエドワード・プレイステッド会長、ANAの篠辺修代表取締役社長