名古屋メシブームは今や駅弁にも影響している

沈静化するどころかヒートアップしている「名古屋めし」ブーム。いま名古屋めしウォッチャーがひそかに注目しているのが「駅弁」だ。駅弁各社がしのぎを削って開発した「名古屋めし弁当」、その最前線をリポートしてみた。

名古屋駅では有名3社がしのぎを削る

名古屋駅午後6時。駅ビルの中にあるキオスク「グランドショップ」は、名古屋出張から帰路につくビジネスマンであふれ返っていた。お目当ては新幹線の中で食べる(もしくは、お土産にする)駅弁だ。キオスクの一角が駅弁コーナーになっていて、ズラリと駅弁サンプルが並んでいる。

面白いのは、弁当名や値段はもちろん、そこに製造会社名まで大きく明記されていることだ。どの駅弁がどの会社で作られているか、一目瞭然で分かる。名古屋駅で購入できる「ご当地駅弁」を製造しているのは、「松浦商店」「名古屋だるま」そして「JR東海パッセンジャース」の3社にほぼ集約される。そこで今回、各社ごとの「オススメの1品」を挙げてもらった。

かしわ文化の名古屋を駅弁で表現

まずは、松浦商店「特製とりご飯」(1,050円)。一般的にはピンとこないかも知れないが、名古屋は「かしわ(鶏肉)文化」の地。名古屋で「とりめし」といえば、老若男女のソウルフードといっても過言ではない。松浦商店は大正11年(1922)創業で、名古屋駅弁界の老舗。イチオシの「特製とりご飯」は、「70年前からの味を受け継いでいる当社伝統の味なんです」と推薦者の岩下萌さん(同社営業部)。

メインは、自家製の鶏ダシで炊いたご飯の上に、鶏そぼろと卵そぼろを2色で敷いた「とり御飯」だ。ほのかな甘さのある上品な炊き込みご飯と、卵そぼろの甘みそして鶏そぼろのコクが渾然一体となり、思わずほっこりしてしまう。おかずも、チキンカツやとり肉の磯辺揚げ、照り焼き、つくね串、バンバンジーなどゴージャス!

松浦商店の「特製とりご飯」は1,050円

2色で敷いた「とり御飯」をメインに、豪華なおかずが敷き詰められている

3つの日本一で構成されたお土産駅弁

名古屋めしの王者といえば、プライス的にはひつまぶしが圧倒的だ。ともすればB級グルメの立ち位置が多い名古屋めしの中にあって、ほぼ唯一高い格式を備えていると言える。そのひつまぶしを駅弁で楽しめるのが、名古屋だるまの「抹茶ひつまぶし日本一弁当」(1,300円)だ。

「このお弁当のテーマは日本一です」と言うのは、推薦者の横田明典さん(同社社員)。「生産量日本一」の三河一色うなぎ、同じく「生産量日本一」の抹茶。そして「日本一長い」守口大根の漬物で構成されている。

この駅弁のユニークなところは、「お土産としての持ち帰り」を想定していること。「そのまま食べてもおいしいんですが、お土産にするならレンジで温めてください」。最初はタレをかけてそのまま、次に薬味ののりやわさびをかけて。そして最後は、ご飯をお茶碗に移し替えて抹茶をかけてお茶漬けに。

名古屋だるまの「抹茶ひつまぶし日本一弁当」は1,300円

最後はご飯をお茶碗に移し替え、抹茶をかけてお茶漬けに

ド直球な名古屋めし駅弁

最後は、JR東海の子会社であるJR東海パッセンジャーズ。オススメの「みそかつ&えびふりゃ~」(1,000円)は、その名の通り名古屋名物「味噌カツ」「エビフライ」がタッグを組んだ、ド直球な駅弁だ。「名古屋みそかつ弁当(850円)という商品もあるんですが、それよりもおトク感があるようでこちらの方が売れていますね」と言うのは、推薦者の久本彩子さん(同社総務部)。

カツは柔らかなヒレカツが2つ入り、加えて大きなエビフライがひとつ。ビックリするのは、フライが真っ黒なことだ。恐る恐る食べてみると衣がしっとりしてほんのり甘い。「八丁味噌で仕上げた味噌ダレに漬け込んであります」。味がしっかり染みこんでいてビールのアテにもいい味加減。

あくまで個人的な感想だが、辛子の小袋が付いてたらいいのになぁと思ってしまった。お土産に持ち帰るなら是非、辛子を付けて食べてみてほしい!

JR東海パッセンジャーズの「みそかつ&えびふりゃー」は1,000円

そのほか、まだまだここでは紹介しきれない「名古屋めし弁当」が、名古屋駅には豊富にザクザクそろっている。名古屋に立ち寄ったら、お気に入りの駅弁を見つけて楽しんでほしい。