内閣府はこのほど、「2012年度国民経済計算確報(ストック編)」を発表した。それによると、2012年末の土地や預金などの資産から負債を差し引いた国全体の正味資産(国富)は、前年末比0.04%増の3,000兆3,000億円となった。増加は5年ぶりで、2年ぶりに3,000兆円台を回復した。

国民資産残高は前年末比2.8%増の8,685兆1,000億円で、2年ぶりの増加。内訳は、非金融資産が同1.1%減の2,704兆円で4年連続の減少、金融資産は同4.7%増の5,981兆2,000億円で2年ぶりの増加となった。一方、負債残高は同4.3%増の5,684兆8,000億円と、2年ぶりに増加した。

正味資産は前年末比0.04%増の3,000兆3,000億円。内訳を見ると、対外純資産は前年末比11.6%増の296兆3,000億円と2年連続で増加し、過去最高を更新した。それに対して、有形固定資産は同1.1%減の1,459兆5,000億円と2年ぶりの減少、土地が大部分を占める有形非生産資産は同1.2%減の1,144兆7,000億円と5年連続で減少した。

国民資産残高の推移

正味資産を制度部門別に見た場合、非金融法人企業は前年末比4.4%減の649兆9,000億円と2年ぶりの減少、一般政府は同21兆2,000億円減のマイナス38兆8,000億円と2年連続の減少。一方、金融機関は同11.3%増の89兆1,000億円と4年連続の増加、家計(個人企業を含む)は同1.9%増の2,232兆7,000億円と6年ぶりの増加、対家計民間非営利団体は同1.7%増の67兆4,000億円と4年ぶりに増加した。

土地資産については、2012年中のキャピタル・ロスがマイナス16兆7,000億円となり、期末残高は前年末比1.2%減の1,143兆1,000億円と5年連続の減少。株式資産については、2012年中のキャピタル・ゲインが82兆2,000億円となり、期末残高は同22.5%増の422兆9,000兆円と2年ぶりに増加した。

家計(個人企業を含む)部門の資産残高は前年末比1.5%増の2,586兆3,000億円と、6年ぶりの増加。このうち、非金融資産は同1.3%減の1,032兆7,000億円と5年連続の減少、金融資産は同3.4%増の1,553兆6,000億円と2年ぶりに増加した。それに対して、負債残高は前年末比1.0%減の353兆6,000億円と6年連続で減少した。

対外資産残高は前年末比15.1%増の718兆5,000億円と、4年連続の増加。一方、対外負債残高は同17.6%増の422兆2,000億円と3年連続で増加し、うち海外部門の保有する国債等は同5.4%増の82兆5,000億円となった。