俳優の水嶋ヒロが3年ぶりに主演を務め、俳優復帰第1作目となる映画『黒執事』が18日に公開を迎える。水嶋が演じるのは、知識、教養、立ち居振る舞い、料理の腕前から戦闘能力に至るまで、性格に難ありという以外はすべてが完璧な執事・セバスチャン。壮絶な過去の傷を持ち、笑うことを忘れ、女であることを隠して生きる幻蜂家当主・幻蜂清玄(汐璃)に仕え、清玄が復讐を果たすまで守り抜く代わりに、願いをかなえたその時には彼女の魂を食らうという契約を交わしている。

剛力彩芽
1992年8月27日生まれ。神奈川県出身。2008年から2013年5月まで、雑誌『Seventeen』の専属モデルとして活動。その後、2011年のドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』で本格的に女優デビューを果たした。2011年、『The Best of Beauty 2011』『第2回日本ウェディングベストドレッサー賞』、2012年『第21回日本映画批評家大賞』新人賞などを受賞。2013年は大河ドラマ『八重の桜』ほか、ドラマ『ビブリア古書堂の事件手帖』で主演。2014年にはテレビ朝日系『私の嫌いな探偵』主演(毎週金曜23:15~)が1月17日スタート。2月26日には2ndシングル「あなたの嫌いな100のところ」をリリース。このほか映画初主演作となる『L・DK』の公開を控えている。
撮影:荒金大介(Sketch)

絶対的な主従関係で結ばれた2人は、女王の密命を受ける「女王の番犬」という裏の顔を持ち、映画ではその絶妙なコンビネーションで怪奇事件の謎に挑む姿が描かれている。初の男装となる清玄を演じたのが、女優や歌手として活躍中の剛力彩芽。「楽しいことが大好き」と語る剛力は、今回の"笑顔の封印"をどのように表現したのか。常に笑顔を絶やさない彼女に、役柄、そして仕事との向き合い方を聞いた。

――男装の麗人役という役どころですが、役作りはどのように?

まず考えたのは、男性をどのように演じればいいんだろうと。実際は女性でいいんですが、清玄自身は男だと覚悟を決めて生きている子なんです。それをふまえて男っぽく見せるには…歩き方だったり声のトーンだったり、まずは見た目を気にしました。体の動かし方は一番女性らしさが見えてしまうところなので、仁王立ちしてみたりとか。あとは、若くして企業のトップという立場でもあるので、いかに賢く、いかに上に立つ者として見えるかを考えました。

本読みの時に、声を低くしていたら、監督が「清玄は傷を負って男として生きているから、どちらかというと感情を大切にしてほしい」と言ってくださって、それは安心してお芝居できるきっかけでもありました。男性としての強さと弱さを、いろいろな形で見せられたらいいなと思いました。清玄の伝えたい言葉は、本当に大切なことが多かったので、きちんと気持ちを理解しないと、ペラペラな言葉になってしまうじゃないかという不安もあって。幼い頃のシーンを見て泣いてしまいましたけど、あれがあるからこそ今の清玄と汐璃があるんだと思いました。

――ビジュアル面で意識したことは?

設定が原作とは違ったんですが、原作の主人のスパイスを少しでももらえたらいいなと思って、髪型もいつも切ってくださる方に写真を見せてお願いしました。過去の傷を負っている部分は原作と同じだったので、そこは漫画を読み込んで、感情的な部分でもいいスパイスをいただいたと思います。

――剛力さんの魅力は、やっぱり笑顔だと思います。これだけ笑わない役を演じてみていかがでした。

『ビブリア古書堂の事件手帖』でも笑わない役だったんですが、それとはまた違っていて。ドラマの方は消極的で照れ屋さん。でも、清玄は楽しいこと、笑うことを忘れてしまった子なんです。楽しいことが大好きな自分にとっては、すごく悲しいことだなと思いました。清玄は気持ちが表情に出なくて、どちらかというと目や言葉にすごく気持ちが出る子なので、表情でお芝居できないのはとても難しかったです。

――劇中では、セバスチャンが清玄を無理やり笑わせるシーンが印象的でした。

あそこは、水嶋さんの「はい! 笑って!」に本気で笑ってしまったんです。まさか、そういうふうに来るとは思っていなくて(笑)。漫画のセバスチャンは、そのくらいちょっと面白い要素があって、水嶋さんはそれを意識したそう。

でも、それがあったので清玄が思わずカチンとなってしまう気持ちが表現できたんだと思います。そのシーンも含めて、水嶋さんとはお芝居に関してあらかじめ決めたことはなくて、自然にそういう流れができました。