――たしかにゲーム対戦を見ながらプロの解説が入って、それにコメントをつけられるという点では、ゲーム実況動画に通じるものがありますよね。

たとえば歌舞伎だって、言うなればミュージカルなわけです。niconicoではニコニコミュージカルをやっていますが、新しい方向として歌舞伎を扱う可能性もあるかもしれません。動画コメントの「w」や「888888」なども、考えようによっては観客の合いの手に近いものですから親和性は高いと思いますよ。そうやってコンサバなコンテンツのプラットフォームとして使っていただくことで、niconicoの社会的な意義も向上していくと思います。

「ニコニコ町会議」のファイナルとなる愛知県・名古屋市栄久屋大通り秋まつりには、あの小林幸子も出演

――社会的な意義というと、町おこしにもなった「ニコニコ町会議」も今年のniconicoを振り返る上で外せないイベントです。

もともとは町おこしではなくて、超会議に来られない全国のユーザーにリアルな場所で起きる非日常を体験してもらおうと開催したのですが、その過程の中で町おこしとオーバーラップしていきましたね。町会議を行う場合、地元の協力がないと絶対にできないんですよ。そのときに地元の方が期待しているのは町おこし効果なわけで、その部分の利害関係が一致したことが大きかったですね。町会議をやっていく中で、ネットから派生したエンターテインメントで町おこしのきっかけづくりができるんだということがわかった年でもありました。

――町会議に町おこし効果があるのはよくわかります。しかし、町会議は一度きりですよね。町おこしというのは継続してやらないと意味がないのではないかと思うのですが。

そこは課題ですね。町会議が終わった後に必ず地元の方に言われるのが、「来年もよろしくお願いします」という言葉なんです。しかし、町会議は特別な場所を除いて同じ場所で翌年も開催することはないんですよ。だから、町おこしをするのであれば、そこから先は地元の方にやっていただくしかないし、そこでniconicoを使っていただいてもまったく問題ありません。地元に住んでいるユーザーにがんばっていただいて、町会議のスピンアウト版を作って自分たちで開催していただく。それを自治体が支える。来年はそういった形でのイベントが出てきてほしいですね。niconicoのブランドなりロゴなりは、それで人を集められるのであれば権利がどうとかケチなことは言わないので(笑)、使っていただきたいですね。むしろ使ってもらってナンボだと思っています。

――お話を伺っていくと、やはり超会議、電王戦、町会議、この3つが2013年のniconico的トピックスだという気がしますね。共通しているのは、どれもniconico内だけで起きているのではなく、他を取り入れて、あるいは巻き込んでいることでしょうか。

まさに、リアルとネットが融合した年、いわば融合元年だったと思います。これまでも口では言っていたのですが、自分たちがそれを成し遂げられた年でしたし、それがどういう効果や課題を生むのかも理解できた年でした。

――リアルとネットの融合という点では、ネット選挙の解禁も大きかったですね。

ネット選挙という言い方をしてしまったので、選挙のときにネットを使うものという考え方が根付いてしまったように思いますが、むしろ重要なのは選挙の前後にネットをいかにうまく使うかということだと思います。3年後は国政選挙ですが、3年経てば大半の人がもっとネットを使うようになっているでしょうし、テレビや雑誌よりもネットに判断材料を求めるようになる可能性も高いのではないでしょうか。niconicoができてから7年経ちますが、7年前からするとネットの状況はがらりと変わりました。

特に震災以降の2年で変わったと思いますね。niconicoもそうですが、twitterやFacebookなど、人と人が情報を交換・共有する機能を実装しているサービスが台頭してきたと感じています。……続きを読む