国民生活センターは19日、インターネット通販の前払いによるトラブルが急増しているとして、消費者に注意を呼びかけた。

PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)によると、インターネット通販の前払いに関する相談件数は、2009年度は542件、2010年度は687件、2011年度は876件、2012年度1,841件、2013年度は4,165件。2012年度から増加傾向が強まり、2013年度は前年度同時期の680件と比べて6倍超に急増している。

年度別相談件数(出典:国民生活センターWebサイト)

主な相談事例としては、「商品が届かない」「注文したものではないものが届いた」「前払いするように誘導された」「サイトや電子メールの表記の問題」「(振込先の)銀行口座が凍結されていた」といったものが寄せられている。

国民生活センターでは、2013年度(4~11月)に直接受け付けた相談342件について特徴を分析。それによると、通販サイトへのアクセスのきっかけが判明した事例173件のうち、「検索サイトで商品名もしくはブランド名を検索してヒットした」が107件(62%)で最多となった。このほか、SNSの広告バナーや大手通販サイトに張られていたリンク、メールマガジンなども確認された。

申込んだ理由については、「価格が安いから」が最も多く69件(51%)。次いで、「欲しい商品が売っていたから」が57件(42%)で続いた。

前払いの際に振り込んだ銀行名が判明した257件のうち、「ネット専用銀行」は96件(37%)、「都市銀行」は90件(35%)。口座名義は「個人名」が241件(96%)と圧倒的に多く、個人名口座の名義人は「外国人名」と思われるものが173件(72%)に上った。

サイトの文面やメールについては、「ご注文書は当店がもう取扱いました。」のように日本語が不自然なものがあった。また、使用されている漢字は、旧字体もしくは日本で使用されているフォントとは異なる字体の場合があったほか、サイト名も読み方が不明のものが多かった。

前払いということは、すでに代金は業者側にあるため、トラブルが起きた場合、業者が応じない限りは金銭的な救済は行われない。加えてインターネット通販は、業者の実態がつかみにくく、所在が不明であったり連絡ができなかったりする場合も多い。また、商品を送るつもりがなければ、どんな商品でも受けることができるため、より多くの人が被害に遭う可能性がある。

国民生活センターは、「前払いのネット通販は、事後の被害救済が非常に難しいタイプの消費者トラブルであり、未然防止が重要である」と指摘。消費者に対して、代金前払いのリスクの大きさを認識するよう呼びかけるとともに、個人名義の銀行口座に前払いしないよう注意を促している。