みずほ銀行が暴力団関係者などへの融資を放置していた問題で、同行は28日、社内処分や再発防止策を盛り込んだ業務改善計画を金融庁に提出した。

社内処分の対象は、OBを含む54人。佐藤康博頭取は半年間報酬なしとなったものの、辞任はしない。また、塚本隆史会長は辞任するが、持株会社であるみずほフィナンシャルグループ会長にとどまる(半年間報酬なし)。一方、小池正兼常務執行役員(リスク管理グループ長)とコンプライアンス統括部長の大谷光夫執行役員は11月1日付で辞任する。

このほかの関係役員についても、1~6カ月間報酬を最大40%減額するなどの処分を実施する。併せて、みずほフィナンシャルグループの社長、コンプライアンス役員ならびにコンプライアンス委員会委員についても、報酬の減額を行う。さらに、今回の問題に関係した職員についても、就業規則に基づき厳正な人事処分を実施するという。

再発防止策としては、みずほ銀行が保有する反社情報を定期的にオリエントコーポレーション(以下、オリコ)へ提供し、同社のデータベースの継続的なレベルアップを図る。また、同行が保有する最新情報による入口反社チェックを実施する体制へのレベルアップにより、入口反社チェックをさらに強化する。

オリコと協働し、キャプティブローンの反社取引排除体制の高度化を検討・推進するため「キャプティブローン反社対応委員会」(仮称)を設置する。

コンプライアンス統括グループ長に副頭取を配置するとともに、コンプライアンス統括部の再編を実施。同統括部の機能を「コンプライアンスの全体統括や体制整備等が主領域の機能」と「危機管理対応として個別・迅速対応が主領域の機能」に分割し、マネジメントの関与を強化する。

特に、「危機管理対応として個別・迅速対応が主領域の機能」については、反社会的勢力との関係遮断を役割とする専担の「部」を従来の「部内室」から格上げして新設し、関係遮断により専門的・集中的に取り組むほか、最新情報にも迅速に対応する。併せて、各都道府県警察本部や弁護士などの外部専門機関との連携も増強する。

頭取を委員長とする「反社取引排除委員会」を新設。反社会的勢力の排除に向けた取組み状況や、商品・サービスのモニタリング、銀行界に於ける最新動向や専門情報の収集・調査などを行っていく。また、特別委員として社外の有識者を呼び、意見や提言を求める予定という。

経営の透明性を高めるとともに、コンプライアンス体制を強化するために、コンプライアンス・ガバナンス・危機管理関連の専門家を社外取締役として招聘する。

コンプライアンス委員会・反社取引排除委員会、頭取に対する報告事項(審議・調整事項)を明確化し、経営陣への反社関連情報の報告・連絡体制を充実させる。さらに社員を対象としたコンプライアンス研修などを行い、意識向上を図る。

企業風土の改善についても取り組む。「みずほの企業行動規範」を見直し、反社会勢力との関係遮断に対する姿勢を明確化する。また、プロジェクトチーム「One MIZUHO 推進 PT」と連携し、全本部・営業拠点における「トップ懇談会(役員臨店)」、全本部・営業拠点長を対象とする「部店長オフサイト」を継続的に実施する。

このほか、本部における重要な報告時等の二重チェック態勢の整備や、内部監査機能の充実・強化などを行うとしている。

一方、みずほフィナンシャルグループは今回の行政処分を踏まえて、子会社などを対象に、反社会的勢力との取引に関する管理状況について一斉点検を実施。その結果、提携ローン以外には新たな反社会的勢力との取引は発見されなかったという。