みずほ銀行が暴力団関係者などへの融資を放置していた問題で、同行の第三者委員会(委員長:中込秀樹弁護士)は28日、調査報告書を発表した。第三者委員会は同行について、反社会的勢力との関係遮断に組織として取り組む重要性の認識が不足していた、などと批判した。

報告書によると、2010年9月にみずほ銀行がオリコを関連会社化した際、オリコ側から同行に対し、キャプティブローンに関する顧客情報の提供が行われ、事後チェックが実施された。その結果、同年12月には提携ローン108万件のうち228件に問題融資があることが発覚。同行の西堀利頭取(当時)にも報告書が届けられた。

報告書の「今後の対応」の項には、「オリコ社も『反社に該当しない不芳属性先』情報の管理の重要性は十分認識しており、今後のシステム対応についても検討中とのこと」との記載があった。

しかし、みずほ銀行では2011年3月15日~24日にかけて大規模なシステム障害が発生。それに伴う混乱で西堀頭取が引責辞任したほか、コンプライアンス統括部においても関係役職員が大幅に異動することになった。そのため、問題について組織上承継する手続きは取られず、西堀頭取の後任者である塚本隆史氏は問題を認識するに至らなかったと指摘した。

また、みずほ銀行のコンプライアンス委員会や持ち株会社の取締役会には、問題融資の一部を記した関連資料が計8回提出されたが、同行の自行貸付(与信取引)であるにもかかわらず、「グループ会社における与信取引・与信取引以外の資金提供取引状況」といった欄に記載され、議論された形跡もなかった。その後は、2012年1月を最後に取締役会への報告は取り止めとなり、対策も検討されなかった。

第三者委員会は、みずほ銀行が問題の融資について「自行の貸付債権であるという意識が希薄であった」と指弾。その上で「反社会的勢力との関係遮断に組織として取り組むことの重要性に対する役職員の認識が不足していた」と批判した。さらに、コンプライアンス統括部渉外室と関連部署の連携・コミュニケーション不足、内部監査が十分に機能していなかったことなどを指摘した。

一方、金融庁の検査に対して、経営トップに融資の情報は上がっていなかったなど、事実と異なる報告をした原因については、十分な確認を行わず、担当者の記憶のみに基づいて回答したもので、「隠蔽の意図などは認められないものの、当局検査への対応としては、軽率であったとの謗りを免れない」と批判した。