――『スラムダンク』は数々の名言が生まれた作品ですが、草尾さんにとって一番印象深いセリフは何ですか?

草尾「『俺たちは強い』とか、そういうセリフは刺さってます。自分たちが強いって言えるのはすごいことですよね。あと、セリフというより、流川に対する反応。何回言ったかわからないぐらい、怒りながら『流川』って言ってますし、あとは春子さんに対する言動も印象深いです。怒りながらの『流川』と『は、春子さん』は、もう条件反射的に出てくるセリフですね(笑)」

――ちなみに、流川に対する花道と同じように、現場で緑川さんを意識して演技することってあったのでしょうか?

草尾「それはないです(笑)。ただ、流川に対する花道の思い、なぜ流川に対して攻撃的になるのか、なぜ流川に対して怒っているのか、それだけは相手役の緑川君に伝わるように、セリフにこめようと考えていました」

――そのほかに印象深いセリフはありますか?

草尾「とにかく、花道のボキャブラリ、彼独特の世界観や語感はすごく好きなんですよ。花道らしいセリフと言われるとすぐには出てこないのですが、『天才バスケットマンの歌』とかも印象に残っています。原作には『俺は天才バスケットマン』って歌っているとしか書かれていないんですけど、アニメでは誰かがちゃんと曲をつけてくれると思っていたんですよ。そうしたら『草尾さん、そこは好きに歌っていいですよ』って(笑)」

――あの歌は即興だったんですね

草尾「そうなんですよ。ひどい話ですよね(笑)。今でもちゃんと歌えるぐらい、必死で考えたので、すごく思い出深いです。絶対に用意されていると思ったんですけどね……油断してました(笑)」

――『スラムダンク』の全101話の中で、特に好きなエピソードはありますか?

草尾「海南大付属との試合に負けて、ゴリに泣くなって頭を叩かれて……あのシーンは花道の人生の中でも大きなシーンだと思うので、すごく大好きです。あと、バスケットシューズを30円で値切って買ってしまうようなところとかも、彼の体温、人間臭い部分が感じられるエピソードだと思うので、そういうところをあらためて観てほしいなって思います。バスケのシーンやカッコいいセリフは放っておいても注目していただけると思うので、それ以外のシーン、桜木軍団とのやりとりとか、そういう雰囲気を楽しんでいただけると、僕らも頑張った甲斐があります。ひとつ間違えるとイジメになっちゃうじゃないですか。じゃれ合っているだけなんですけど、演じ方を間違えると支配というか、イジメになる。なので、そう思われないように、あくまでもじゃれ合いの延長なんだって伝わるように、花道軍団の皆さんとも一緒になって作りあげたつもりなので、そのあたりがうまく皆さんに伝わればうれしいです」

――何気なく見過ごしてしまうシーンにこそ注目してほしい

草尾「何気ないシーンにこそ、けっこう僕らは命をかけているところがあるので(笑)」

――それでは最後に、インタビューをご覧のみなさんにメッセージをお願いします

草尾「放送を観ていた方は、当時を思い出したり、懐かしんだりしながら、あらためて楽しんでいただけたらうれしいです。初めて観る方、原作も読んだことがなくて、今回初めて『スラムダンク』に触れるという方もいらっしゃると思いますが、そういう方にはどのように思いが伝わるのか、そのあたりもすごく興味があります。僕自身、デジタルリマスターHD版になって、どのくらい変わっているのかがすごく興味深いので、いろいろな世代のいろいろな人と一緒に、この『スラムダンク』というすばらしい作品をあらためて楽しみたいと思います。ぜひ皆さんも放送を楽しみにして待っていてください。キッズステーションさんではリピート放送もありますので、何回も何回も、繰り返し観ていただけたらうれしいです。よろしくお願いします」

――ありがとうございました


『スラムダンク』(デジタルリマスターHD版)は、2013年11月3日よりキッズステーションにて放送開始。リピート放送など、詳細な放送スケジュールはキッズステーション公式サイトなどをチェックしてほしい。

また、DVD全17巻セットや今回の放送のために作られたオリジナル番宣ポスターなどが当たるプレゼントキャンペーンも行われるとのこと。こちらもキッズステーション公式サイトでチェックしよう。

なお、キッズステーションが見られるスカパー!では、11月3日(日)に無料放送を実施。BS放送が見られる環境であれば、『スラムダンク』(デジタルリマスターHD版)の4話連続放送が簡単に無料で視聴できる。こちらの詳細もキッズステーション公式サイトにて。

(C)井上雄彦・アイティープランニング・東映アニメーション