10月7日、ニコニコ生放送にて人気コミック「3月のライオン」第9巻発売記念特番「武井壮が教える渡辺竜王の倒し方」が放送され、プロ棋士の渡辺明竜王とタレントの武井壮が登場。司会は将棋好きで知られる声優の岡本信彦が務め、ゲストに女流棋士の北尾まどか二段が担当した。
番組では武井壮が将棋を子供向けに簡易化した「おでかけニャーしょうぎ」で渡辺竜王に挑戦。結果から言うと、ハンデをもらいながらも渡辺竜王を倒す大金星を上げた。
『3月のライオン』は羽海野チカによる『ヤングアニマル』に連載中の人気マンガ。東京の下町に1人で暮らす17歳の少年・桐山零があかり・ひなた・モモの3姉妹と出会い、何かを取り戻していく姿を描いた物語である。第9巻限定版には「おでかけニャーしょうぎ」が付録として付いてくる。
番組の冒頭、渡辺竜王と対面した武井壮は「渡辺竜王は猛獣とは違うオーラを感じます。かなりの知的生命体ですね……! 俺も百獣の王ですから」と最初からハイテンションで挑戦状を叩きつけた。
そんな武井壮、将棋に関しては「ルールも怪しい」レベルだというが、今回は「後輩やタレントとニャーしょうぎ大会を開催して優勝してきました」と自信満々。一方、ニャー将棋は初めてだという渡辺竜王だが、「どうぶつしょうぎ」に関しては子供やプロ棋士とも対戦しているとのことで、余裕の表情を崩さない。
ここで番組には、ニャーしょうぎの発案者である女流棋士の北尾まどか二段が登場し、武井壮の実力チェックも兼ねて「詰めニャーしょうぎ」が行われた。
ニャーしょうぎのルールを簡単に紹介しておこう。
ニャーしょうぎは通常の将棋とは異なり、3×4という小さな盤で対局が行われる簡易版将棋。コマには可愛らしい猫のキャラクターが描かれており、動かせる方向が記されているなど、初心者でもすぐ遊べるよう工夫が施されている。なんと今回『3月のライオン』限定版に付くニャーしょうぎのコマの絵は、羽海野チカの描き下ろしだという。
ニャー(コマ)の種類は「おーさまニャー(王)」「ふニャー(歩)」「ひしゃニャー(飛車)」「かくニャー(角)」の4種類と、通常の将棋よりも少なめ。「おーさまニャー」と「ふニャー」は将棋と同じ動き方をするが、「ひしゃニャー」は縦横に1マスずつ、「かくニャー」は斜めに1マスずつしか進めない。また、「ふニャー」のみ、相手の陣地(端から2マス)に入り込むと「キリっとニャー(成金)」となり、金将と同じ動き方ができるようになる。なお、将棋ではルール違反となる二歩などは、ニャーしょうぎにおいては特に問題にはならない。
詰めニャーしょうぎを通して武井壮がルールを把握したところで、別室へと場所を移し、いよいよ渡辺竜王 VS 武井壮の対局がスタートした。
持ち時間は各5分。時間がなくなったら武井壮は30秒、渡辺竜王は10秒の秒読みに入るというルールが設定されたが、最初の対局では渡辺竜王がほぼノータイムでニャー(コマ)を動かし、あっという間に勝利。盤が小さくなってもその強さは圧倒的であった。
そこで、渡辺竜王にはさらなるハンデが課せられた。それは、渡辺竜王の持ちニャーから「ふニャー」を落とし、それを武井壮の持ち駒にするというもの。そもそも4枚しかコマがないニャーしょうぎにおいてこのハンデはかなり大きい。また、武井壮はニコニコ生放送視聴者のコメントを参考にしてもいいということにもなった。
この対局が、MCの岡本信彦や北尾まどか二段を驚かせるほど白熱したものになったのである。
その一部始終を解説していこう。
まずは初手。渡辺竜王が「ひしゃニャー」を一歩前進させる。これに対して、武井壮もニコ生コメントを参考にしながら、自らの「ひしゃニャー」を前進。
続いて渡辺竜王が「2二かくニャー」とし、これに武井壮が「同ふニャー」、さらに渡辺竜王が「同おーさまニャー」として応戦した。
この時点で、盤面には渡辺竜王が「おーさまニャー」と「ひしゃニャー」を、武井壮が「おーさまニャー」「ひしゃニャー」「かくニャー」を残した状態となる。また、武井壮には持ち駒として「かくニャー」もあり、優位は揺るがないかと思われた。
しかし、ここから渡辺竜王が粘りを見せるのだった。……続きを読む