――今回の劇場版では、テレビシリーズでは見られない、沢嶋を第三者の視点から撮った映像が楽しめるのも見どころの一つだと思います。

そこはやはり沢嶋というキャラクターをあらためて考え直したきっかけにはなりましたね。5年もやってきている中で、僕=沢嶋みたいになりつつあるところはあるので、あえてキャラを作らず、"素"とはまた違うんですが、ほとんど演技プランを立てずに臨みました。今までは『みなさん、どうですか?』的な、問いかけるような部分はありましたけど、こうして映画になるということは、少しはニーズがあるのかなと。

自分の役者人生の半分はこの作品と関わってますし、ライフワークといっても良いので、まだまだ続けていきたいです。

――また「フリーズガン」(36秒だけ相手の時間を停止させる護身用の銃)や「オルタナスナッチャー」(歴史的遺産を略奪する犯罪者)といった新しい武器や気になる設定も提示され、さすが中尾監督、といったユニークなアイデアも随所に光っています。

天才ですよね(笑)。『そろそろ新しい武器なんか欲しいね』と僕が言ったら、『考え中なんだけどね……』とか言いながら、しっかり用意していたりする人なんです(笑)。作る側と演じる側って、ともすると分けて考えられがちなんですけど、中尾監督の場合、まったくそこらへんの"壁"がないんですよ。もちろん監督自身の人柄もありますけど、お互いがひとつになってモノを作れる、また、そういう気持ちにさせてくれる、数少ないスタッフの一人ではありますね。

――では、今回の劇場版に関して、絶対に見逃してはいけない見どころ、つまり"アブソリュートポイント"を3つ、挙げていただけますか。

1つ目は、僕たちが安土城に乗り込むシーン。台風の日に撮影が行われたんですが、これは日本映画史上に残るシーンではないかと(笑)。なんといっても、木の揺れも雨もすべて本物ですから。映画でああいう映像を作ろうとすると無理ではないかと言えるくらいリアルです。2つ目はビジュアル。時任さん演じる権之助が避難所で食糧を配給しているのですが、そこにいらっしゃるみなさんの衣装はすべてスタイリストさんの手染め&手作りによるものなんですよ。加えて『タイムスクープハンター』ファンのみなさんはもうご存じだと思いますが、もちろんみなさん髪の毛をそってまげを結ってますので、こちらもリアルです。

――そして3つ目は?

めっちゃマニアックなんですけど、権之助が数名の武士たちと一緒に安土城に向かうんですが、あのメンバーは全員テレビシリーズで主役を演じた人たちなんです。よく見れば『あ、あの回のあの人だ』と分かる、まさに『タイムスクープハンター』オールスターが勢ぞろいしてますので(笑)、そこをぜひ見てほしいですね。

――最後に、先日ご結婚され、役者として、そして一人の人間として、まさに新しい"歴史"の一歩を踏み出したと思うのですが(笑)、いかがですか?

やっぱり独身だった頃より、地に足をつけて仕事のことを考えられるようになりました。自分の人生だけでなく、パートナーの人生もちゃんと考えて、計画立てて話し合いができるというか。もちろん、常に自由でありたいし、どんどんいろいろなことにチャレンジしていく精神は忘れたくないですが、しっかり守るべき人がいてチャレンジできる、という"ベース"があるのは違いますね。玄関を一歩出た瞬間『よし、やるぞ』と覚悟が決まります。

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