「ウルトラセブン展」を訪れた森次晃嗣(左)とひし美ゆり子

『ウルトラセブン』の生誕45周年を記念した「ウルトラセブン展」が7月24日~8月5日の期間で、東京・日本橋のp三越本店・新館7階ギャラリーで開幕した。開催初日の24日には、モロボシ・ダン/ウルトラセブン役の森次晃嗣、友里アンヌ役のひし美ゆり子が会場を訪問し、トークセッションを行った。

「ウルトラセブン展」は、その名のとおり『ウルトラセブン』の魅力をさまざまな角度から探る企画展で、実際に使われた怪獣着ぐるみや精緻な模型、脚本、多種多様な玩具類など、本作の魅力が凝縮されている。有料ではあるものの、森次やひし美、毒蝮三太夫らが音声を吹き込んだガイド案内なども楽しむことができるという。会場を訪問した森次とひし美は「ダン」、「アンヌ」とお互いを呼び合いながら懐かしそうに会場を見て回り、当時の思い出を語った。

『ウルトラセブン』より前に他作品での共演があった森次とひし美だったが、森次はアンヌ役は別の女優が担当すると聞いていたため、撮影現場の初顔合わせで驚愕したという。「衣装が別の女優さん向けだったから、サイズがあってなかったんです」と森次が明かすと、ひし美「少し小さかったんです。でもその方がアンヌのイメージに合っていたのかもしれませんね」と答え、衣装の一部を自分で切ってサイズを合わせたり、当時の撮影現場ならではの創意工夫があったことを明かした。

森次は、撮影当時とにかくお金がなかったことが印象的だったようで「小田急の始発で撮影に行き、終電で帰ってくる生活でした。駅から歩いて行くと、(ひし美が)タクシーで『ハァイ、ダン!」と追い抜いていくんです(笑)。撮影所の前の60円のラーメンで食いつないでできた作品です。キリヤマ隊長が飲みに誘ってくれても、お金がないからなかなか参加できなくて……」と振り返る。ひし美は「私は大体ごちそうになってたから」といたずらっぽく笑っていたが、ひし美の発案で森次の飲み代をカンパして誘ったこともあったという。

お金がなかったのは『ウルトラセブン』の撮影現場も同様で、繰り返されたのは「手作り」という言葉。放送で使われる音声は別録りのため、トタン屋根を雨が激しく叩いていたり、建物を建設する音が響く中の収録も珍しくなかったらしい。「夏は暑くて、1シーン撮ったら扉を手で開けて休憩に行ってました」とひし美が語れば、森次も「冬は隙間から雪が吹き込んで、屋内のセットなのに撮影ができなかったりしたんですよ」というエピソードも。CGのない現場ならではのやり直しのきかない緊張感、キラキラしたエフェクトはアルミホイルを貼って揺らしていた、などのさまざまな秘話が語られていた。

今でこそ伝説のヒロインとして根強い人気を誇るアンヌ隊員だが、ひし美は「当時は人気とか全くなかったです。何十年もたってから、そう言ってもらえるようになって。だから今日もこんなに取材していただいて、興奮して倒れそうです(笑)」と振り返りながら、感慨深げに話していた。最後は「ウルトラセブン展」について、森次が「『ウルトラセブン』を愛してやまない人は三越に駆けつけてください」と、ひし美が「ダンとアンヌのおすすめです。待ってます!」とそれぞれにアピールした。

「ウルトラセブン展」は7月24日~8月5日、日本橋三越本店・新館7階ギャラリーで開催中。入場料は一般・大学生700円、高校・中学生500円、小学生以下無料。

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