――原作者の貴志さんとはお話をなさいましたか?
三池監督「最初にお話しました。貴志さんは、すごく映像的な小説を書く人なので、自分の作品が映画化されるというのは、楽しみでもあるけど、逆にすごく怖いことだと思うんですよ。だから最初に、映像化に対して慎重な人なのか、思い切りのいい人なのか、それは見極めておかなければならない。そして慎重になっているなら、それはどの部分なのか、直接的に話すのではなく、何となく漏れてくる感触から受け止めていく。原作者の方は、誰よりも作品に対して強い愛情をもっているので、その愛情を自分の中にコピーできれば、マイナスになることはない。僕としては、映像化することによって、できるだけプラスで返したいんですよ。そのためにも、『悪の教典』を貴志さんと同じぐらいに大事なものだと思えれば、そこが出発点になる」
――原作者と同じ気持ちになって映像を作っていくのですね
三池監督「貴志さんは出来上がった映像を観たとき、自分で原作を書いたにも関わらず、『こんな映画いいんですか?』って。『大丈夫なの、これ』って(笑)。きっと先生なりの予想があったと思うんですよ。全国公開の映画ですから、だいたいこんな感じだろうっていう感触が。でも実際は、その感触とは違って原作に近いもの、物語が近いというよりテイスト、ハートが近いものになっていたので、すごく喜んでもらえたと思っています」
――そんな『悪の教典』がBlu-ray/DVDになりますが、劇場ではなくBlu-ray/DVDで観るうえで注目してほしいところはありますか?
三池監督「劇場ですでに観た方にとっては、われわれと逆のプロセスを辿ることになるんですよ。僕らは今、デジタルで編集するので、編集室というか日常的な空間の中でモニタを見ながら作っていって、そこで完成したものを大きなスクリーンに映して調整する。つまり、今の映画はモニタから生まれてくるわけです。もちろん大きなスクリーンで、いい音で観てもらいたいという思いもありますが、逆に自分のプライベートな場所、一番くつろげる場所で観れば、非日常から日常に戻ることで、劇場とはまったく違った印象を持つかもしれない。ある意味、より刺激的になると思うんですよ。うちにハスミンが来ちゃった、みたいな(笑)。そうやって、日常の空間で非日常を感じることによって、劇場とは違った感覚で楽しんでほしいなと思います」
――それでは最後にファンの方へのメッセージをお願いします
三池監督「まずは、上映されたときはまだ14歳で観られず、この期間に15歳になった人たちに、お誕生日プレゼントとしてこの作品をお届けしたいです。大人になるための次のステップに仲間入りしたという感じで楽しんでもらいたい。そして、生徒ひとりひとりやハスミンを演じた伊藤英明をもう一度じっくりと観察してもらい、日常の中でこの狂気を感じながら、作品全体をあらためて楽しんでもらえたらうれしいですね」
――ありがとうございました
『悪の教典』のBlu-ray/DVDはエクセレント・エディションとして2013年5月24日リリース。Blu-ray/DVDともに2枚組で、特典ディスクにはメイキング映像や未公開シーン集、オフィシャルインタビュー集などが収録される。そのほか封入特典として、完全未公開オフショットを多数収録した「悪の教典 卒業アルバム」が同梱される。価格はBlu-ray版が7,035円、DVD版が6,090円。