経済同友会は22日、大学の英語入試(一般入試)に、「TOEFL」の導入を要望する提言「実用的な英語力を問う大学入試の実現を~初等・中等教育の英語教育改革との接続と国際標準化~」を発表した。
提言では、大学の英語入試において、実用的な英語力を判断する外部資格試験のTOEFLを、2016年までに導入するよう要望。文部科学省などの行政が、責任者、達成時期、目標数値を明確にし、英語入試改革を後押しすべきだとしている。
現状の課題として、大学の英語入試は「聞く」「読む」「訳す」「細かな文法」に偏っているほか、各大学による試験開発により特徴や傾向が異なっていると指摘。英語入試に、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を総合的に判断するTOEFLを導入することで、初等中等教育改革で進める総合的な英語学習を引き継ぎ、受験のための学習から実用的な英語力の養成にシフトすることができるとしている。
また、英語の選考を、各大学各学部で出願条件として設定する基準スコアをクリアする方法に変更することにより、生徒は年に複数回受験することが可能になり、受験の負荷を減らせるほか、大学側は、個別の試験開発、試験運営のコストと時間を削減できると主張。さらに、「英語学習を入学の合否で終わらせることなくフィードバックが得られ、入学後や卒業時の英語力測定に活用することができ、生徒の学習意欲を継続できる」としている。
ただし、TOEFLは現在、教育機関などの学校単位認定や海外派遣専攻の目安として利用されているものの、入試優遇ではAO入試や一般推薦入試、外国人留学生入試での活用にとどまっており、一般入試ではほとんど利用されていないという。
実現に向けた課題としては、TOEFLの国内受験者数は年間約60万人に上り、大規模な活用には運営上の問題があると指摘。インターネット試験を行う試験会場の準備や採点体制の整備などに向けて、行政と大学、TOEFL開発・運営団体が「実現のためのロードマップを詰めていくべきである」としている。
行政に対しては、大学入試改革に積極的に関与することにより、初等・中等教育の英語教育改革と接続を図ることができると進言。特に外国人教員の採用については、教育機関のICT環境の整備を推進し、世界中の人材を活用できる「Distance Learning(インターネットなどを利用した遠隔地学習)」の導入を進めるべきだとしている。