黄金山周辺には視界を遮るものがないので、広島市街まで一望できる

神戸市や函館市、長崎市のように夜景が有名な都市は全国に点在している。その陰に隠れてあまり知られてはいないが、実は広島市にも非常に美しい夜景を楽しめるスポットがある。それが「黄金山(おうごんざん)」だ。こちらのスポットは、山頂まで車で行けることもあって、地元ではデートにもよく利用されている。

黄金山は、広島市の南東部に位置している標高221.7mの山。それほど高くはないが、周囲に視界を遮る高いビルや山などがないため、天気のいい昼間に山頂まで登れば、市街のみならず広島湾の多島美(たとうび)まで見渡すことができる。

瀬戸内に浮かぶ島が山になった理由とは!?

しかし実はこの黄金山、かつては広島湾に浮かぶ島だったというのだから驚きだ。山のかつての名前は「仁保(にほ)島」。広島観光コンベンションビューローの蒲池さんによると、「周辺が埋め立てられたことによって、島から山へと変貌したのです」とのこと。どうりで土地に大きな起伏がなく眺めがいいわけだ。

黄金山山頂には、かつて仁保城が築かれていた。この城の起源は不明だが、室町後期には既に存在したといわれている。「山の北側には、毛利氏時代に仁保城の城番を任された三浦元忠(もとただ)の菩提寺『観音寺』もあります」とは蒲池さん。どうやらこの一帯は歴史ある土地のようだ。

また、原爆が投下されたために、広島市中心部にはほとんど古い建物は残っていないが、爆風の被害を免れた黄金山の麓には、土蔵などの古い建造物が多く残っていることも感慨深い。

桜色に染まる、広島屈指のデートスポット

さらに、「桜の名所としても知られていて、毎年春になると山が桜色に染まるんですよ」と蒲池さんは続ける。また、夜になって街のあかりがともり始めると、美しい夜景も楽しめる。そのため、年間通してデートに訪れる人が多いのだとか。

これについて蒲池さんは、「山頂まで道が整備されていることも人気の理由でしょうね。しかもしかも市街地から車で20分とほどよい距離ですし、山頂に展望台が設けられていることも高ポイントなのでは?」と分析。

春になると山全体を覆うように桜が咲く

黄金山山頂には、大小合わせて3つの展望台があり、そのどこからも美しい夜景が楽しめる。また、レストハウスなども用意されている他、駐車場も整備されているため、気楽に訪れることができるようだ。

駐車場も整備されているので車で訪れるのも◎

「山頂の他、登山道路の途中にも何カ所か駐車スペースが設けられていて、そこからでも眼下に広がる景色を楽しめますよ」と蒲池さん。また、黄金山は歩いて登ることもできるので、天気がよい昼間や気温が高く歩きやすい春の夜などには、ウオーキングを楽しむ人の姿もちらほら見受けられる。

ウォーキングを楽しみながら広島湾の多島美を満喫できる

近隣には「広島市現代美術館」などの見どころも

黄金山の南側にはマツダの宇品(うじな)工場がある。また、その先には広島大橋や海田大橋などが見える。これらの橋は夜になるとライトアップされて、思わず足を止めてしまうほどきれいなのだとか。また、蒲池さんによると、西側に広がる広島市の中心市街地の夜景も見応えがあるそう。

南側に広がる雄大な広島湾も魅力

黄金山からほど近い場所には「広島市現代美術館」や「まんが図書館」などの観光スポットもあるので、黄金山とセットで楽しむプランを組んでみるのもおすすめだ。

●information
広島市の観光情報サイト ひろしまナビゲーター