――さて、4thシングルとなる「Destiny」ですが、今回はどういった曲に仕上がっていますか?
喜多村「今回、アルバムで培った喜多村節を忘れずに、作品の世界観を作っていこうという裏テーマがあって、そのあたりで疾走感だったり、シンフォニックメタル感のようなものがサウンドの核にはなっていますが、その中で私自身が作品で演じたキャラクターにも焦点を当てたいという思いもありました」
――『円卓の生徒』ではルミーナ(ルーミ)の声を担当なさっていますね
喜多村「私の演じたルーミという役は、姫でもあり、騎士でもある。現在進行形だと騎士だけど実はお姫さまでした、そんな設定があるので、ただ疾走感があってカッコいいというだけでなく、女性らしさ、凜としたカッコよさを追求したサウンドとボーカルにして姫成分を出したかった。私はオリエンタルロックと呼んでいるんですけど、そういう意味では、女性らしいロックに仕上がったんじゃないかと思っています」
――これまでの3作品はアニメのタイアップでしたが、ゲームのタイアップではアプローチに違いはありますか?
喜多村「アニメもゲームも、基本的なところは同じスタートラインで、作品の世界観に自分が寄り添っていくという作業自体は変わらないと思います。ただ、ゲームの場合、アニメと違って動いている絵自体はそんなに多くはないと思うので、自分自身も音声収録しかしていないという点では、自分のキャラクターと世界観、全体の奥行きがアニメの作品よりは見えづらい状況での制作になりました」
――アニメよりも寄り添いにくいということはないでしょうか?
喜多村「自分が演じるキャラの視点だけでなく、世界観全体においてメインになるところを理解する力が必要になりますね。そういう点では、自分を中心にしつつも、周りの情報を取り入れながら、それを敷き詰めていくという作業だったと思います」
――作品に寄り添っていく中で、喜多村さんからの提案などはありましたか?
喜多村「基本的な作品の世界観から、最初に主題歌を歌うというお話をいただいたとき、『re;story』がピッタリなんじゃないかと思ったんですよ。それぐらい、シンフォニック感のある曲が似合うと思っていたのですが、同じものを出してもつまらないですし」
――『re;story』がピッタリだけど、さすがに同じというわけにはいかないですよね
喜多村「そうですね(笑)。ジャンルとしてはシンフォニックメタルがピッタリで、私自身もシンフォニックメタルをやりたい。でも、そこにただこれまでの喜多村サウンドをあてがうのではなく、『re;story』を超えるもの、『re;story』ではない『re;story』の系統を作れないかなって」
――「Destiny」の作詞・作曲は『re;story』と同じ山崎(寛子)さんですね
喜多村「同じ山崎さんということもあって、基本的なメロディラインとか、使っている音色は『re;story』と実は一緒だったりもするのですが、どの楽器をメインにするかで、曲の印象って大きく変わってくるんですよ。『re;story』はある意味、男性的な曲として作ったので、ギターが前に出るようなサウンド作りになっていますが、『Destiny』は女性、特に芯のある女性を表現したかったので、ストリングスとハープ、フルートをメインにした、どこまでも女性成分の強い音色にしてくださいとお願いしました。あとは細かい部分で、意識して『re;story』とは違う組み立てにしています」
――曲が出来上がったときの印象はいかがでしたか?
喜多村「山崎さんには以前から私がシンフォニックでオリエンタルでメタルな感じの曲が好きだということはお話してましたし、ずっとキタエリサウンドに関わっていただいている方なので、細かいリクエストなどはさせていただきましたが、おおよそ思っていた方向の曲に仕上がっていたので、あとはより磨きをかけていくだけという感じでした」
――実際に歌ってみていかがでしたか?
喜多村「テクニカルで難しい曲ではありましたが、特に気をつけたのは女性らしく歌うということですね。あまりエッジの効いたボーカルにせず、一つ一つの言葉をしっかりと置いた歌い方をしようと思いました。メタルとかロックの場合は、ちょっと雑な感じが魅力だったりもするのですが、今回はきれいな荒ぶりとでもいいましょうか、崩していないかといわれれば崩しているんですけど、とにかく女性らしく丁寧な歌い回しにしようと思って歌いました」