――レコーディングは順調でしたか?

喜多村「基本的に短期集中型なので、レコーディングにはあまり時間をかけないんですけど、今回はちょっと鬼門というか、歌いこなせていないところがあって……。Bメロの『貫き進む奇跡』というところなんですけど、メロディ的にどうしてもロック、メタルといった歌い方になってしまうのですが、それはやはり女性らしい歌い回しじゃない。自分で言い出したことなんだからちゃんとやらなきゃっていう意識もあって、その部分は何回も歌い直しました。ただ、同じBメロでも、2コーラス目は歌詞のハマり方が自分の中でも処理しやすかったので、スッと歌えたんですけどね」

――メロディは同じでも歌詞によって歌いやすさが変わるわけですね

喜多村「1コーラス目の『選ばれた剣 貫き進む奇跡』という歌詞は、『円卓の生徒』という作品においても重要なワードなんですよ。なので、特にここを印象付けたかったのですが、強く歌えば印象付けられるかといえば、そうじゃないというのが自分の中にあって……メロディアスで疾走感がありつつ、女性らしくて、しなやか、そんな形容詞がいっぱい浮かんできて、それを全部クリアしたいという気持ちがレコーディング中は強かったです。自分で勝手にハードルを上げちゃっただけなんですけどね(笑)」

――それでは今回のMusic Clipはどのような感じになっていますか?

喜多村「今回は『円卓の生徒』のタイアップということで、私が演じているルーミというキャラクターを意識した、完全意識ではないんですけど、イメージ映像という感じで、『円卓の生徒』と『Destiny』、両作品を一緒に楽しめるような共通点を見出していただけたらいいなと思っています。森をさまよい、傷つきながらも前に進むルーミの姿を喜多村が演じつつも、実はルーミさんは姫だったんだよっていうきれいな部分、そんな2ポーズが楽しめます。サウンド面でもこだわった女性らしさについては、メインパートの楽器隊を全員女性にお願いするなど、どこまでも女子の園といった感じで表現しています」

――かなり森をさまよっていますよね(笑)

喜多村「このあたりでRPG感というか異世界ファンタジー感を上手く出しつつ、日本ではないどこかを演出しています。撮影したのは日本のキャンプ場なんですけどね(笑)。表情などには、『re;story』的な疾走感やシンフォニック感もありますが、それとは違った、もうちょっと女性らしい、しなやかな動きに努めています。あと、今回の撮影では、初めて風を受けて歌っているんですけど、風を受けながらだと、ちょっと大御所になったような感じで、とても気持ちよく歌えました(笑)」

――「re;story」の撮影は大変だったと伺っているのですが、それと比べると今回はいかがでしたか?

喜多村「『re;story』も大変でしたが、『Destiny』は『Destiny』で大変でした。たぶん同じぐらいか、それをはるかに超える大変さだったかもしれませんが、だんだんと大変さって慣れてくるんですよね……ちなみに寝ているシーンはガチで寝ちゃっていますし、森で転ぶシーンもガチつんのめりなんですけど、そういうところでリアルを追求してみたり(笑)。かなり自由に動き回らせていただいていたのですが、そこを上手く繋いでいただいて、最終的には、自分が思っている『円卓の生徒』の世界観ができたんじゃないかと思います」

――続いてカップリング曲「SHINE」についてお伺いします

喜多村「『SHINE』はとてもアーティスティックな曲構成になっているので、曲の味を楽しんでいただけるのではないかと思います。バラードっぽい曲かと思ったら、けっこう激しいメタルで、サビでもっと加速するのかと思ったら、情緒のあるきれいな感じで……落として広がっていくみたいな曲構成で、とても聴き応えのある仕上がりになっています。この曲は特にタイアップではないのですが、ルーミのイメージソングにしたいというプロデューサーの意向を踏まえて作った曲なので、そのあたりも歌詞の世界観などから感じていただけると思いますので、4thシングルは、カップリングも含めて『円卓の生徒』のCDになっているという印象ですね。私の好きなメタル感、2バスを踏みまくりながらも情緒ある耽美な感じ。とても広がりのある女性らしいメロディアスな曲になっていて、こちらが表題曲でも問題ないと思えるぐらい、円卓節のある曲に仕上がっています」

――これまで喜多村さんは"和のテイスト"というものにもこだわりがあったかと思うのですが、そのあたりはいかがですか?

喜多村「そこはやはり『円卓の生徒』のタイアップというところで、遊べなかった部分もありますね。ただ、じっくりと紐解いてみると、『SHINE』は演歌メロディの曲なんですよ。聴かせ方や歌い方、アレンジによって、そうは見えないと思いますが、実は和の曲といっていいかもしれません。そのあたりに喜多村イズムというか、喜多村エゴが入っていたりもするのですが、今回はあくまでも喜多村英梨 featuring 『円卓の生徒』なので(笑)」

(次ページへ続く)