女優でタレントの小池栄子が20日、都内で行われた映画『ペンギン夫婦の作りかた』の初日舞台あいさつに出席した。
本作は、流行語にもなった大ヒット商品「食べるラー油」の原点である「辺銀食堂の石垣島ラー油」を生み出したペンギン夫婦と二人を取り巻きを描いた作品。食べるラー油誕生の秘話を、2011年第85回キネマ旬報ベストテン助演女優賞(『八日目の蝉』『RAILWAYS愛を伝えられない大人たちへ』)の小池と台湾の人気俳優ワン・チュアンイーが演じている。映画は20日から全国公開。この日の舞台あいさつには、主演の小池ほか、深水元基、映画のモデルとなった辺銀夫妻(暁峰さん&愛理さん)、平林克理監督が登壇した。
主人公・歩美を演じた小池は、歩美のモデルとなった実在の愛理さんと対面した時の印象を「仕事柄、数々のスターに会ってきましたが愛理さんはその中でも一番オーラがある方で、お二人(暁峰&愛理)はキラキラとまぶしい太陽のようなご夫婦」と語り、「歩美がその時何を思っていたかを本人に聞くことができたので、役を作る上でとても参考になりました」と愛理の存在が、自身の役作りにおいて大きな助けになったと明かした。また、石垣島オールロケで撮影され、島に長時間滞在していた小池は、おすすめスポットに迷わず「スナックリスボン!」(実際に「食べるラー油」が生産された場所)と即答し、観客を沸かせていた。
また、劇中で自分の夫を演じたチュアンイーについて小池は、深水の印象を聞かれたにもかかわらず「私はチュアンイーさんの事しか見えてなかったので!」とベタ惚れの様子。対する深水は「撮影が始まってお二人(小池とチュアンイー)を目の前にしたら、なんかもう"あ、かなわないな"って思った」と少々及び腰だったものの、「その時に自分と上原という役がリンクした」と、劇中で夫婦の帰化申請調査をする役柄に活かしたというエピソードを語った。
もともとの原作があるわけでなく、実在の人物の物語を映画にするという難しさを平林監督は「原案あっての映画ですが、やはり映画としての盛り上がりや演出も必要となるので、どこまでを映画に盛り込むのか、というバランスは非常に苦労しました」と解説。また、本作のマスコミ向け披露試写会後に交際していた女性にプロポーズし、結婚が決まったというエピソードについては「入籍できたのはまさに、この映画のおかげです。この作品がなかったらどうなっていたことか(笑)。奥さんは作品に対して人一倍厳しくて、ここで言えないくらいきつい事も言われました。もう少し優しく言ってくれてもいいのにと思ったりもしますが、僕の事を一番理解してくれている人」とはにかんだ。
その後スペシャル・ゲストとして、本作のモデルとなった辺銀夫妻も登場。暁峰さんは「本当にうれしくて、大変感謝しています」と喜びをあらわにし、愛理さんは「最初は恥ずかしかったので、ペンギンじゃなくてイルカとかペリカンなど別の名前にしてください! なんてお願いしたりしました」と話して観客の笑いを誘っていた。そして、観客の挙手によって選出される本作の"おいしい"シーンベスト1には「水餃子を食べるシーン」が選ばれ、平林監督は「ジャッキー・チェンなど、アジアのスターがおいしそうに食べるシーンをやってみたかった」と満足気な表情を見せていた。小池はここでも「カットがかかってもチュアンイーさんとふたりでずっと食べ続けていました」と話し、チュアンイーに首ったけの様子だった。
最後に平林監督は「今まで長いこと映画の仕事をしてきましたが、この歳になって映画とは作るだけでなく、観ていただくことで意味を成すものだなと実感しています。この場でその公開初日を皆さんと共有できたが本当にうれしい」、小池は「私にとって大切な映画になりました。ご夫婦のこれまでの歩みを、チュアンイーさんと一緒に私も感じさせていただけたことが本当にうれしいです。大切な人の手を離さずに歩んでいこうという気持ちにさせてくれたこの映画に感謝しています」とそれぞれに本作への想いを語っていた。
映画『ペンギン夫婦の作りかた』は現在公開中。