インドで出版禁止の危機に立たされているJ・K・ローリング (C)BANG Media International

J・K・ローリングの最新刊『ザ・カジュアル・ベイカンシー』がインドで出版禁止の危機に立たされており、シーク教から反発を受けているという。

9月27日に出版された『ハリー・ポッター』シリーズ後初となるローリングの新刊には、インドのシーク教徒で、外科医の娘のスクウィンデールという登場人物が描かれていて、スクウィンデールは"毛深い男のような女"、"巨乳のくせに口ひげが生えている"というキャラクター描写になっており、周囲からいじめを受けているという設定がある。

この本書中の描写を受けて、インドのシーク教最高幹部らは、ローリングが使った本書を"挑発的な表現"とし、読者からの苦情を現在調査中だとのことで、ローリングの真意がシーク教徒の信仰を侮辱するものだと判断された場合は、出版指し止めを求めていく姿勢を示している。

シーク教寺院運営委員会(SGPC)の代表を務めるアブター・シン・マッカーは英デイリー・テレグラフ紙に対して、本書中でローリングが使用した否定的な表現は「シーク教のコミュニティーに対する侮辱である」と非難している。「たとえ著者が女性のシーク教徒である登場人物の身体的特徴を記述するのだとしても、あれほど挑発的で、女性キャラクターのジェンダーを問うような表現を使う必要はなかったのです」

さらに、同団体のスポークスマンも「もしこの本がシーク教の信仰への侮辱であるならば、我々としては出版禁止を求めていきます。インドでの発売が禁止になるように働きかけていくつもりです。J・K・ローリングのような世界中に何百万という読者を抱えている著名な作家ならば、全ての信仰とコミュニティーを尊重する必要性があると考えます。シーク教徒は、女性であれ、体毛を剃ることを控えているのです。これはあくまで我々の信仰の一部であり、これに対して攻撃的な言葉を投げかける人間は、シーク教に関わる全ての人の感情を諸に逆撫ですることにつながるのです」と続けている。

この騒動に対して、ローリングの同書を出版した米出版大手アシェットの代理人は、使われた表現はスクウィンデールという一登場人物のいじめを表現する手段にすぎなかったとすぐさま反論している。

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