「20%を突破」「1ケタ視聴率で打ち切りへ」。こんなニュースを見て、「エ~ッ、つまらないんだけど!」「こんなにおもしろいのに……」と感じたことはありませんか? 本稿では芸能通やコアなファンの支持を集める低視聴率番組を、愛情たっぷりに紹介していきます。

アイドルに「アレ」を言わせたい…そんな妄想が実現できる神番組

1本目のおすすめ番組は、『SHIBUYA DEEP A』(NHK、金曜24時15分~)。

2007年のスタート当初はBSのみの放送だったが、昨年4月に地上波へ昇格。番組名通り、ディープなファンを少しずつ増やし続けている。

最大の魅力は、生放送のライブ感と、それを最大限に生かしたムチャぶり。生放送中の番組にケータイ、スマフォ、パソコン、ワンセグのいずれかから、思い入れたっぷりのリクエストを送ることができるのだ。

MCを務める田村淳とケンドーコバヤシ

旬のアイドルや俳優に、言って欲しいセリフをリクエストできる『胸キュンDeepコロシアム』は、最大の人気コーナー。たとえば、石原さとみに「私だって肉じゃがくらい作れるよ!」。SKE48の松井玲奈に「(電話で)今、会えないかな……後ろにいるんだけど」。No.1グラドル吉木りさに「番組観てくれた? あとでイイ子イイ子してね」。ホスト系イケメン徳山秀典に「お前に選ぶ余地はない! オレの妻になれ!」などと、その妄想は果てしない。「セリフを聞いて胸キュンする」のもいいが、王道は「ムチャなセリフを強要されて照れるタレントを見て楽しむ」ドS目線だ。

視聴者からのお題に芸人が答える『お笑いムチャぶりバトル!』は、さらに壮絶。たとえば、「タモリさんがチャラ男に。どんな感じ?」「"考える人"が考えるのをやめた時のポーズを教えて」などの自由すぎるお題に、芸人たちは震え上がり、結果"ダダすべり"も珍しくない。っていうか、これほどスベる大喜利コーナーは観たことがないが、むしろそれが魅力。芸人たちが悶絶しながら絞り出す答えは、それだけで正解でもいい気がするのだ。

そして、MCを務めるケンドー・コバヤシのムチャぶりも凄まじい。たとえば、アシスタントの橋本奈穂子アナに、「私のこと"ナオパン"って呼んで」「私も好きです……焼きイモ」などと強引に言わせたり、背後に立ってエロ言葉をかけたり、そのイジり方はNHKの歴史に名を連ねるほどのもの。

こんな内容だから、番組がはじまるとtwitterや2ちゃんねるは"祭り"状態。アイドルの萌えゼリフに「ハァハァハァ」、ギャグがスベると「キタ~!!!」。実際、こっちで生放送のライブ感を楽しんでいる人が多い気がする。

そもそも、「この番組を放送しているのがNHK」ってことがムチャなのだ。下ネタや橋本アナイジリを放置したり、かつて交際報道のあったオリラジ藤森慎吾と加藤夏希を共演させたり、とにかく配慮に欠ける。でも、それが観る方にはたまらなく楽しい!

また、生放送の参加型番組は、録画を避けるため視聴率は上がりやすいのだが、この番組は一方で、視聴率に加算されないワンセグ視聴を推奨している。こんな「いかにも国営放送」的なユルさも含め、金曜の夜にひとり悶々と過ごすみなさんは、ガッツリどうぞ。

1ケタ常連だけど男も女も楽しめる、女性アスリートと男芸人のガチバトル

2本目の低視聴率番組は、『炎の体育会TV』(TBS系、月曜19時~)。

番組コンセプトは、「男というだけで、美女アスリートに勝てるのか!?」。現役の美女アスリートたちは「芸人なんかに負けない」というプライドとを、男性芸人たちは「女なんかに絶対負けない!」という意地を賭けたガチ対決が売り物だ。

番組進行は安定の今田耕司と雨上がり決死隊

【見方その1】「写真週刊誌のグラビア」的なオトコ目線

"アスリートvs芸能人の対決モノ"ならよく見るが、"美女アスリートに限定し、キスを賭けて対決"という偏った割り切りぶりが潔い。だからアスリートは有名選手だけでなく、フィンスイミングの藤巻紗月やボウリングの名和秋など「エッ、こんなかわいい子が?」という青田買いの若手選手が目白押し。

【見方その2】「男なんかブッとばせ!」的なオンナ目線

どの競技でも、美女アスリートが男性芸人を打ち負かすシーンが多く、とりわけボクシングや柔道などの格闘技では、スカッとすること請け合い! 殴られ、蹴られ、ひざまずく男たち……「上司がムカつく」「彼に浮気された」なんてときは、タイムリーなのだ。BGMには、久宝留理子の『男』を希望。

ただ、このまま芸人だけと勝負していても飽きそうだから、往年の名番組『ビートたけしのスポーツ大将』の伝説ロボット"カールくん"みたいな変化球が欲しいような気がする。まあ、今なら"ボルトくん"なんだろうけど、何らか起爆剤を!

「チャライ『筋肉番付』」「マッスル劣化版」などの心ない声もあって視聴率は常に1ケタだが、TBS伝統のスポーツ番組だけに、特番だけでもいいから残して欲しいところ。『ジャンクスポーツ』の終了後は、スポーツバラエティ番組どころか、スポーツ中継そのものが少ないし、「たまには観てやろう」というレベルでもいいのでぜひ!

TBSの月曜19時と言えば、『100人に聞きました』『フレンドパーク』など、30年以上に渡って司会を務めた"関口宏アワー"。今、どんな顔でこの番組を観てるんだろう……。

きむら・たかし

コラムニスト、芸能・テレビ評論家、タレントインタビュアー。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超える重度のウォッチャーであり、雑誌やウェブにコラムを提供するほか、業界通として『芸能★BANG!』(日テレ系)などに出演。取材歴1000人超のタレント専門インタビュアーでもあり、著書は『トップ・インタビュアーの聴き技84』など
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