仙台味噌は代表的な赤味噌のひとつ

いよいよ寒さも本番。あたたかい味噌(みそ)汁が飲みたくなる季節だ。味噌といえば、老化防止や血液の循環をよくする抗酸化作用をはじめ、様々な効果があることで知られている。一説によれば、味噌の中でも特に抗酸化作用があるといわれているのが赤味噌だとか。

というわけで今回は、赤味噌の代表格・仙台味噌にまつわるネタを、料理店の紹介とともにお届けしたい。仙台味噌は、八丁味噌、白味噌と並ぶ日本の三大味噌のひとつ(※諸説あり)とも言われているが、どんな味噌なのだろう? 早速、宮城県内にある41社の味噌醤油メーカーで組織されている「宮城県味噌醤油工業協同組合」の方に伺ってみた。

仙台味噌には400年以上の伝統がある!

そもそも、仙台味噌とはどんなものなのか? 起源をたどると、400年以上前の戦国武将・伊達政宗に行き着くようだ。戦国の時代において味噌は大事な兵糧でもあったため、伊達政宗は軍用味噌を他に頼らず自給しようと考えた。そこで、城下に大規模な味噌工場を設けたのだが、これが最初の味噌工場となり、仙台味噌の始まりと言われている。

一説によれば、他の藩の味噌は夏季に腐敗してしまったが、仙台藩の味噌は少しも変質せず味も優れていたのだとか。評判が評判を呼び、他藩にも分け与えるようになったことから、一躍その名が知れ渡ったとも伝えられている。

熟成期間が長く、じっくり醸造させる赤味噌

仙台味噌は伝統の製法と近代的な技術により、独特の味が現代に伝えられている

仙台味噌は、大豆と米麹と塩を使って作られる「米味噌」の分類に入るが、一口に米味噌といっても様々だ。麹や塩の分量、大豆を煮るか蒸すかなどによって食感や塩分濃度に違いが出てくるだけでなく、熟成期間の長短によって口当たりや風味も変わってくる。一般的に赤味噌は、白味噌に比べて熟成期間を長くとることで知られている。

どんな食材にも合う 、すっきりした味わいの赤味噌

仙台味噌は、辛口の味、さえた赤色、しっとりとした光沢が特徴だ。大豆のうま味を生かしたすっきりとした味わいなので、どんな料理とも相性がいい。魚の生臭みを抑える役割も果たすので、サバの味噌煮などにもピッタリだ。

伊達政宗もビックリ!? 味噌入りスイーツのいろいろ

ところで、仙台では味噌を使ったスイーツもバリエーションが豊富である。組合の方に教えていただいたものはどれも興味をそそられるものばかりであったが、特に気になったのは、「仙台味噌カステラ」と「仙台味噌プリン」。

さすがの伊達政宗も、400年後の人々が味噌をデザートに使っているとは夢にも思わなかっただろう。ということは、今から400年後の2400年代には、味噌を使った新たな食品が登場しているのかもしれない。そう思うとなんだか愉快な気分だ。

仙台に行ったらぜひ立ち寄ってほしい「古々がみそ」

さて、続いては、仙台味噌を使った料理を食べられる人気のお店をご紹介させていただこう。食材に宮城県産を使っている地産地消のこだわりの店、「古々がみそ」だ。仙台市内に一番町店と仙台駅前店の2店舗あるのだが、今回は一番町店の佐藤店長に、おすすめの料理やお店で人気の料理などを伺ってみた。

人気メニューを看板にした「古々がみそ」 。落ちついた趣のある空間に心がなごむ

レトロな雰囲気が漂う店内は、ゆったりとくつろげる空間。存分にリラックスして宮城の味を堪能することができる。友人や家族と訪れるのも一興(いっこう)。後々まで色あせない時間を過ごすことができるだろう。

宮城ならではの食材に、美容・健康にも配慮した味噌

仙台味噌料理を中心に供するこちらのお店では、宮城県もしくは近県の食材を使うことにこだわっている。お酒の種類も多く、日本酒、焼酎、ワイン、カクテルと様々にそろえているが、特に宮城の地酒(純米、特別純米)は豊富だ。

さらに、仙台味噌の種類も1種類だけでないというから驚きだ。宮城県産の大豆と米麹を使って2年熟成させた味噌や、美容と健康にも配慮したこだわりの減塩味噌までそろう。

素材を活かしたシンプルな郷土料理と和風創作料理

一番町店の佐藤店長のおすすめは、「牛タン仙台味噌焼き」「コラーゲンみそもつ鍋」「酢味噌で食べるお刺し身」「鍬(くわ)焼き」などで、忘年会・新年会ではもちろんのこと、普段から注文が殺到しているメニューのようだ。来店の際には予約した方が賢明かもしれない。

値段も手頃。コース料理は3.000円から

●information
「古々がみそ」一番町店
宮城県仙台市青葉区一番町4-9-1かき徳ビル2F

「古々がみそ」仙台駅前店
宮城県仙台市青葉区中央3-1-21仙台駅前ビルEAST7F

お茶請けにもぴったり! 自宅で味わう仙台味噌の田楽

口いっぱいに広がる東北の味、数百年の歴史の香る仙台味噌。仙台方面を旅した折には、ぜひ本場の味を堪能していただきたいが、「忙しくてどうしても仙台へ行けな~い!」という方のために、仙台の方に教えてもらった、仙台味噌を使った簡単な料理「笹かまぼこの味噌田楽」をご紹介したい。

材料は至ってシンプル、「仙台味噌小さじ1 / 調味料(砂糖・みりん各小さじ1)/ 笹かまぼこ4枚 / 白いすりゴマ適宜」だけである。

作り方も簡単。仙台味噌、調味料(砂糖・みりん)、白いすりゴマを先の分量で鍋にかけ、弱火でかき混ぜながら沸々してきたら火を止める。この「煉(ね)り味噌」を笹かまぼこにぬり、オーブンまたはガスコンロの魚焼きグリルで焼くと出来上がりだ。

お茶請けにもなり、日本茶ともよく合う「笹かまぼこの味噌田楽」

甘さを控えめにしたい時は、みりんの代わりに酒を使ってもいいだろう。笹かまぼこは仙台名物として有名だが、仙台味噌の辛さと調味料の甘さをミックスした甘辛い「煉り味噌」を付けて焼くことで、さらにおいしくいただけるというわけだ。お酒のつまみとしても、小腹が空いた時のおやつとしてもおすすめなので、ぜひお試しあれ。