JR旅客5社は16日、ダイヤ改正を2012年3月17日に実施すると発表した。東北新幹線へのE5系追加投入、新型車両E657系や287系のデビューに注目が集まる一方、100系と300系の引退、「あさぎり」の使用列車の変更、「日本海」「きたぐに」の運転取りやめなどの発表もあった。

「はやぶさ」「はやて」「やまびこ」に加え、「なすの」2往復にもE5系を使用

E5系「はやて」「やまびこ」「なすの」は4月から計13往復に

常磐線特急の約4割がE657系での運転に

東北新幹線では、東京~新青森間の「はやて」15往復中、7往復がE5系での運転に。「なすの」2往復にもE5系が投入され、同車両を使用する東京発の「はやて」「やまびこ」「なすの」は計11往復となる。4月27日以降、さらに2往復増発されるという。

常磐線ではE657系による特急列車がデビュー。「スーパーひたち」10往復と、「フレッシュひたち」下り5本、上り4本に新型車両が投入される。これにともない、「スーパーひたち」の一部列車で、上野~いわき間の到達時間が最大9分短縮される。

一方、特急「成田エクスプレス」は東京~成田空港間以外の区間で区間削減と編成減車が行われる。特急「草津」「あかぎ」の一部列車も運転の見直しが実施されるとのこと。

371系(写真左)と20000形(同右)。ともに「あさぎり」での運用を離れることに

小田急線と御殿場線を経由し、新宿~沼津間を結ぶ特急「あさぎり」は現在、JR東海の371系と小田急20000形(RSE)を使用している。ダイヤ改正後は全列車が小田急60000形(MSE)に置き換えられ、新宿~御殿場間の運転に。現行4往復のうち1往復が土休日のみの運転となる。

100系と300系が引退、東海道・山陽新幹線はN700系が主力に

東海道新幹線では、「のぞみ」の定期列車がすべてN700系に。来春をもって300系車両が引退となるため、東海道新幹線はN700系と700系に統一される。

山陽・九州新幹線直通列車「みずほ」「さくら」も増発

山陽新幹線は朝夕に東京~岡山間の「のぞみ」を増発するなど、運行体系の一部変更を実施。九州新幹線に直通する列車も8往復増発され、「みずほ」5往復(1往復増)、「さくら」18往復(7往復増)の運転となる。今回のダイヤ改正で100系車両が運転終了となるため、山陽新幹線を走る車両はN700系、700系、500系の3種類となる。

京都・大阪から南紀方面の特急は「くろしお」に統一

JR西日本においては、京都・新大阪から南紀方面の特急列車に新型車両287系を投入することも話題に。これを受けて、現行の特急「オーシャンアロー」「スーパーくろしお」「くろしお」の名称は、すべて「くろしお」に統一される。また、播但線と山陰本線の高速化工事が完了することから、キハ189系を使用する特急「はまかぜ」の所要時間が、大阪~城崎温泉間で平均6分短縮される。

京阪神圏の「アーバンネットワーク」に関しては、阪和線やJR宝塚線などに新型車両225系が投入される。これにともない、JR宝塚線の113系が運転終了となる。

817系ロングシート車両のインテリアイメージ

福岡都市圏では、通勤・通学時間帯の福北ゆたか線を中心にロングシートの車両を投入する。新たに製造されるのは817系2000番代(2両編成)と3000番代(3両編成)で、朝7~8時台に博多駅に着く福北ゆたか線の快速・普通列車10本のうち、9本にロングシート車両の投入および増結を実施。定員増加による輸送力アップと混雑緩和を図る。

JR九州はその他、特急「ゆふいんの森」「ゆふ」の一部列車の大分~別府間延長運転、「ソニック」と「にちりん」の大分駅への乗換駅統一、九州新幹線に接続する福北ゆたか線・筑肥線・豊肥本線の列車増発などを実施。JR四国でも特急列車の設定見直しが行われる。

首都圏と名古屋近郊に新駅開業、被災した八戸線も全線再開

武蔵野線に開業する吉川美南駅

ダイヤ改正を機に新駅も。「東京メガループ」(武蔵野線・京葉線・南武線・横浜線)を構成する武蔵野線吉川~新三郷間に「吉川美南(よしかわみなみ)駅」が、名古屋近郊の東海道本線幸田~岡崎間に「相見(あいみ)駅」が開業する。なお、東日本大震災で被災し、代行バスの運転が行われてきた八戸線種市~久慈間も、来年3月17日からの再開を予定している。震災から1年を経て、八戸線は全線(八戸~久慈間)で運転を再開することになった。

今回のダイヤ改正でも姿を消す寝台列車が…

ともに長い歴史を持つ寝台特急「日本海」(写真左)と急行「きたぐに」(同右)が臨時列車に

新幹線や在来線特急に新型車両が続々と投入される中、寝台列車は年々その数を減らしており、今回のダイヤ改正でも2列車が姿を消す。1950(昭和25)年の運転開始以来、60年以上にわたり運転された寝台特急「日本海」(大阪~青森間)と、1961(昭和36)年からの歴史を持つ急行「きたぐに」(大阪~新潟間)が、利用者減少を理由に定期運転を取りやめ、多客期のみの運転となる。

ダイヤ改正の最終的な時刻は、来年2月25日発売予定の「JR時刻表3月号」で発表される。