映画『恋の罪』の完成披露報告会が2日、東京・オーディトリウム渋谷で行われ、主演女優の水野美紀、冨樫真、神楽坂恵と園子温監督が出席した。

左から、園子温監督、冨樫真、水野美紀、神楽坂恵 拡大画像を見る

先月に婚約を発表したばかりの園監督と神楽坂は、初めて2人で公の場に姿を現した。園監督は「私の"恋の罪"でお騒がせしてすみません」と恐縮し、「こんなことになるとは。何を言っていいのか分からない…」と大照れ。一方、神楽坂は「女優としても人としても成長させていただきました。とても尊敬してるし、信頼できる方です」と笑顔で報告すると、集まった報道陣から祝福の拍手が贈られた。

園監督は作品について、「女性ならではの社会・家庭・性の抑圧、そこからの解放というテーマで映画を作りたかった。成熟した大人の女性の映画です」とPR。夫と子供を持ちながら浮気を繰り返す女刑事・和子を演じた水野は、「台本を読んだときから、和子に対して特別な感じはしなかったんですが、取材をうけると男性と女性のインタビュアーで質問が違うんです。女性は『女として不思議なことではない』という前提でお話するんですけど、男性は『役柄は大変だったでしょ』から始まって…。その違いが面白いと思う」と語り、「遺体解剖のシーンで、本物のウジ虫を這わせてたんですけど、匂いはすごいし飛んだりして大変でした」と撮影を振り返った。

セレブ妻・いずみが変貌していく様を演じた神楽坂は、「この役が出来なかったら、女優を辞めようと思っていた」と明かし、「リハーサルがとても厳しくて…監督が求めるものに応えようと、自分自身と向き合って役づくりをしました」と難役に全身全霊で挑んだ様子。最後に報道陣から挙式など今後の予定を聞かれたが、笑顔で会場を後にした。

映画『恋の罪』は、ラブホテル街のアパートで起こった謎の猟奇殺人事件を追う女刑事・和子(水野)は、大学のエリート助教授・美津子(冨樫)と小説家を夫に持つ清楚で献身的な主婦・いずみ(神楽坂)の驚くべき秘密に触れ引き込まれていく――というストーリー。『愛のむきだし』(2009年)や『冷たい熱帯魚』(2011年)などで国際的評価を得ている園監督が、渋谷区円山町ラブホテル街で実際に起きた殺人事件からインスパイアされて描いたサスペンスエンターテインメント作品で、第64回カンヌ国際映画祭に正式出品された。12日よりテアトル新宿ほかで全国公開予定(R-18指定)。