日本銀行は27日、政策委員会・金融政策決定会合において、資産買入等の基金を50兆円程度から55兆円程度に5兆円程度増額し、金融緩和を強化することを決定した。資産買入等の基金の増額に当たっては、長期国債を対象とすることにした。

日本銀行は日本経済について、「供給面の制約が解消されてきている中で、持ち直しの動きが続いている」と分析。金融環境についても、CPや社債の発行環境が良好な状態を続け、企業の資金調達コストも緩やかに低下するなど、緩和の動きが続いているとしている。

日本経済の先行きについては、当面、海外経済の減速や円高の影響を受けるものの、その後は海外経済の成長率が再び高まることや、震災復興関連の需要が徐々に顕在化していくことなどから、緩やかな回復経路に復していくと考えられるとした。

だが、「物価の安定が展望できる情勢になったと判断されるにはなお時間を要する」と予想。その上、国際金融資本市場や海外経済の動向次第で、経済・物価見通しがさらに下振れするリスクにも注意が必要としている。

日本銀行は、8月に強化した金融緩和措置のもとで、金融資産の買入れ等を着実に進めているが、「物価安定のもとでの持続的成長経路への移行をより確かなものとするためには、金融緩和を一段と強化することが必要と判断した」。

次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針については、無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0~0.1%程度で推移するよう促すことも決定、事実上のゼロ金利政策を続けることとした。