株式会社シタシオンジャパンは、26日、「震災後の社会生活における価値観の意識調査」を発表した。調査対象は、全国1万人の20代~60代の男女。結果を見ると「社会とのかかわりを重視する価値観」が顕在化していた。

以下、調査結果の詳細を記述する。

震災後「席を譲る」、「ゴミを分別する」などの意識が高くなっている

まず、調査では、震災前後で「電車やバスで席を譲る」、「ゴミを分別する」といった「公共の場での配慮の変化」があったかどうかを聞いた。

震災前後で比較すると、「電車やバスで席を譲る」6.9ポイント、「ゴミを分別する」9.8ポイント、「自宅以外でも水を無駄にしない」19.6ポイント、「時間を守るようになった」7ポイントのプラスと、どの項目でも約7~20ポイントほど、回答者の割合が高くなっている。

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さらに、「今後の社会生活で重要だと意識している事」を聞くと、「他人を思いやる心」88.9%、「他人との助け合い」83.1%、「環境への配慮」83.0%となり、「グローバル化」など漠然とした項目は49.1%と低い値になっていた。

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恋人・配偶者に求めるのは「強引さ」よりも「協調性」

次に、「日常生活で他人とどう関わりたいか」と聞いたところ、74.3%が「人との出会いを大事にしたい」と回答していた。さらに、「見知らぬ他人とも協力し合う心が必要」69.7%、「見知らぬ他人でも機会があれば協力したい」60.4%と、見知らぬ誰かとのかかわりを重要と感じている割合が半数を超えていることも分かった。

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また、「日用品の貸し借りなど生活面の協力」、「家族ぐるみのつきあい」といった深いコミュニケーションを、現状行っている割合は、11.4%ほどであったが、「近所・近隣との関係を築きたい」と回答している割合は、52.6%となり、近隣と関係を構築したいが、できていない現状が浮き彫りとなった。

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一方、女性に対して、「パートナー(配偶者や恋人)に求めること」も聞いている。結果、「リーダーシップ」41.0%や「強引さ」34.0%よりも、「思いやり」62.7%や「協調性」55.7%の方が割合が高く、さらに、独身女性では、この差が顕著になっている。

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「SQ」度をセルフチェック。全国平均点は61点

今回の調査を監修した、関西学院大社会学部の鈴木謙介准教授は、「多くの人々の生活意識は、震災前後で社会性が高まっており、周囲との関係性を重視する意識が見受けられた」と調査内容を総括している。

関西学院大社会学部の鈴木謙介准教授

さらに、鈴木准教授は、こういった社会性を求め協力する価値基準を「SQ」(かかわりの価値基準)と定義。この「SQ」度は、下記16項目でセルフチェックが可能となっている。

●チェック項目

A-1.人類の遠い未来まで意識して生活したい

A-2.エコと表示されていると、その理由が分からなくてもつい買ってしまう

A-3.誰かのためになるのなら自分の我慢はいとわない

A-4.地球環境のことまで意識して生活していきたい

B-1.子どもや孫の代のことを考えた行動をとっていきたい

B-2.思いやりは数字や金額で見える結果より、心がこもっているかが重要である

B-3.夏の節電の時は、自らできる範囲で行った

B-4.街で困っている人がいたら助けたい

C-1.未来を考えるといっても、自分が生きている間のことくらいしか考えたことがない

C-2.数字で測れる社会貢献しかやる意味はない

C-3.電車でお年寄りが前に立っていても席を譲りたくない

C-4.引っ越しした時、隣近所に自らあいさつに行きたくない

●チェック方法

チェック方法は、思い当たる項目が1つあるごとにAの項目には+4点、Bは+20点、Cは-4点を加え、その総得点を計算する。満点は96点で、最低点は-16点。1万人の対象に調査したところ、平均点は61点という結果だった。