毎日新聞と日本棋院は6日、第66期本因坊戦を四勝三敗で初防衛した山下道吾本因坊の就位式を都内にて開催した。

山下道吾本因坊。雅号である「道吾」の"道"は出身地である北海道、そして尊敬する本因坊道策に由来するという

奇しくも9月6日に33歳を迎えた山下本因坊は、「誕生日をこんなに多くの人に祝っていただくのは初めて。こういう結果で終われば、7局目で終わるのもいいかな」と笑顔を見せたが、「戦っている間は、生きた心地がしなかった。自分の精神力の弱さを改めて思い知らされた」と3連勝後にまさかの3連敗となった激闘を振り返っていた。

また、今回の優勝賞金の一部を東日本大震災の義援金として「毎日希望奨学金」に寄付することを明かし、「私には碁を打つことしかできないが、みなさまの元気が出るような碁を打ち続けたい」と誓った。

冒頭の挨拶で毎日新聞・朝比奈豊社長(左)は、最終局までもつれこんだ戦いに「素晴らしい執念、精神力だったと思う」と賛辞を贈った

現在、第36期囲碁名人戦七番勝負にて井山裕太名人に挑戦している山下本因坊。毎日コミュニケーションズより発行している電子雑誌、囲碁上級者・有段者向け「囲碁人」(毎月25日発行)および囲碁初心者向け「IGOJIN Beginners」(毎月5日発行)では、名人戦の前夜祭・対局室検分などの様子も今後掲載予定だ。どちらも無料で、公式サイトよりダウンロード可能となっている。

「息子にも花束贈呈という晴れ舞台を体験させていただき、ありがとうございます」と目を細める山下本因坊(右)と長男の真輝君