不動産コンサルタントの長嶋修氏

9月1日は防災の日―。東日本大震災の影響を受け、各地で大規模な防災イベント・訓練が開催されるなど、例年に比べて防災への関心が高まっている。今回は、さくら事務所社長で不動産コンサルタントの長嶋修氏に、不動産のプロとしての視点から自宅でできる耐震・防災チェックについて話を聞いた。

マクロミルが全国の15~59歳男女を対象に行った「防災に関する調査」によると、大地震が起きた時、自宅の耐震面にどの程度不安を感じているか尋ねたところ、「不安を感じる」(23%)、「やや不安を感じる」(47%)の計70%が自宅の耐震面に不安を感じていると回答。持ち屋一戸建てに居住している人の築年数別にみると、10年以下で不安を感じている人は49%にとどまる一方、31年以上で不安を感じている人が87%に達しており、築年数が長いほど不安に感じている人が多いことが窺える結果となった。

こうした結果に対し、長嶋氏は「日本の木造住宅の寿命はおよそ30年と言われるが、最近の住宅は定期的に点検やメンテナンスをすれば100年はもつ。半年に1回はセルフチェックをしてみてほしい」と話す。

台風12号が9月2日にも上陸の恐れがある中、長嶋さんは「防災の日以降は特に、耐震チェックにはいいタイミング。台風が去った翌日などは素人でもシミを見つけやすい」と指摘する。「床下や天井裏に雨漏りなどのシミができていたら要注意。放置しておくと、木が腐ったり、シロアリやカビの温床となり、結果として構造に影響を及ぼす事も」。点検口から床下を確認し、雨漏りなどのシミ、基礎のひび割れ、漏水跡、シロアリなどをチェックしよう。また、天井裏も雨漏りなどのシミに加え、接合部のひび割れ、接合部の金具が外れていないかなど確認してみてほしい。また、外壁に厚めの名刺やシャープペンの芯が奥まで入るヒビがあるなら要注意。構造や地盤に問題がある可能性があるので、すぐ専門家に相談してみたほうがよさそうだ。

天井裏

床下

外壁

専門家による耐震診断は5~10万円、耐震改修は120万円~150万円でほんの少しの補強で済む場合もあるとのこと。住んでいる地域によっては、国、都道府県、市町村それぞれで補助金がもらえる場合があり、最大50~60万円程度の補助が受けられる地域もあるので、役所などで是非問い合わせてみよう。

不動産のプロの視点から、確認しておきたい防災チェックについても話を聞いたところ、長嶋さんは「家具の配置についてもう一度確認してほしい」と強調した。「地震が起きた時、きちんと避難経路が確保されていることが重要。マンションなどでは特に、入り口付近に大きな家具を置くとドアを塞いでしまう危険性がある。玄関までの脱出経路をふさぐ家具がないか確認してほしい」。また、家具の上に重い荷物を置くと落下しケガをする可能性も。、できれば置かないほうがよい。

また、管理組合や自治会で、きちんと緊急時の連絡先を把握しているか確認してほしいと長嶋さん。管理組合でバールやジャッキなど家具や柱の下敷きになった人を助けるための道具を用意しておくのもいい。「個人の対策としてはホイッスルなど、自分の居場所を知らせるグッズなどを購入しておくと、いざという時に役立ちます」。

この機会に是非、耐震・防災チェックをしてみてはいかがだろうか。