遂に、この日がやってきた。

7月3日6時20分過ぎ、ボーイング社の最新型旅客機787(愛称「ドリーム・ライナー」)が羽田空港に飛来した。世界で最初に定期便に就航させるANAの塗装がされた787型機がANAのメンテナンスセンターに姿を現した。新しさはそれほど感じさせないが、全体の半分以上に炭素繊維複合材を使用し、疲労や腐食に強く、従来の同規模機より約20%もCO2の排出量を抑制するなど、様々な最新技術が施された革新的な旅客機である。

記念の放水を浴びるボーイング787型機

最新技術は乗客の快適さも向上させた。機内の気圧を従来の高度8,000フィートから6,000フィート(富士山の3号目とほぼ同じ高度)のレベルまで上げ、これにより空気の循環をよくなる共に、湿度も高くなる。近年の旅客機は航空会社だけではなく、乗客の要望が強く反映される傾向にあり、787も開発段階で一般のモニターからの意見を数多く集めた。例えば高度を6,000フィートまで下げられる構造にしたのも、そのレベルまで下げることにより乗客が快適だと感じられるということからだ。ボーイング社のあるシアトルから羽田まで乗ってきた塚本真己機長は、「あまり疲れを感じなかった」と語った。

今回のフライトで操縦かんを握った石井正之機長(左)と塚本真己機長。「羽田に着いて数多くの人が注目してくれていることを感じ、込み上げてくるものがあった」(石井機長)

様々な最新技術と新しい快適さを追求したこの最新型旅客機は、これから検証プログラムなどを経て今年9月にも運航をはじめる予定だ。