こんにちは。一日3時間をニコニコ動画に費やすダメ社会人、山田井ユウキです。

今日もさっそく最近流行の動画や埋もれている良動画を独断と偏見で皆さんに紹介していこうと思います。選ぶ基準はただ一つ、僕の趣味です!

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これまで本連載では「ボカロオリジナルを歌ってみた」や「ランティス組曲」、あるいは「替え歌シリーズ」に「全部俺シリーズ」など、さまざまな「歌ってみた」関連の動画を取り上げてきました。

今回はそうした「歌ってみた」がニコニコ動画でどのように発展してきたのか、全体の流れを追いかけながら"歌ってみた史"として振り返ってみたいと思います。

そもそも既存曲やオリジナル曲を歌ったものをネットにアップするという文化は、ニコニコ動画のはるか以前から存在していました。

なので、2006年12月のニコニコ動画スタートと共に「歌ってみた」が投稿され始めたのは別に何の不思議もない、当然の流れだったわけです。


そのニコニコ動画に"現存する"最古の「歌ってみた」動画がこちら(この直前にニコニコ動画は一度リニューアルしているため、投稿順が入れ替わっています)。

その後、動画上にコメントが流れるニコニコ動画なら手軽に視聴者から感想をもらうことができ、しかも"歌のどの部分でそう思ったか"がわかるというメリットから、「歌ってみた」は急速にその勢いを拡大することになります。

さて、ニコニコ動画黎明期とも言える2007年3月~6月頃にかけて流行したのは、アニメソングやゲームソングなど、ニコニコ動画ユーザーと文化的に親和性の高いジャンルでの「歌ってみた」でした。

この時期は過去にも特集した「エアーマンが倒せない」や「思い出はおくせんまん」などが高い人気を誇っており、「歌ってみた」でもこれらを歌った動画が数多く投稿されています。



そんな中、2007年6月に「歌ってみた」カテゴリを大ブレイクさせた動画が登場します。


「組曲『ニコニコ動画』」は、それまでニコニコ動画で人気のあった楽曲をアレンジし、一つにつないだ10分ほどのメドレー。

これが爆発的な人気となり、数々の関連動画が生まれていくことになるのですが、その中心となったのが「歌ってみた」だったのでした。


こちらは現存する組曲関連の「歌ってみた」で最高の再生数を叩き出している「nayuta」作品。涼宮ハルヒの憂鬱をテーマにしたモノマネと替え歌が非常にハイクオリティです。組曲人気も手伝って本格的にジャンルとしてブレイクした「歌ってみた」からは、元々2ちゃんねるのカラオケ板で活躍していた「雌豚」や「いさじ」、「ゴム」、そして後にランティスより発売された「ランティス組曲」に参加している「J」「nayuta」「Re:」「ゼブラ」など、多数の人気ユーザーがこの時期に登場しています。





また、すべてのパートを自分の声で歌うという「全部俺」シリーズを定着させた「Re:」や、現在ではメジャーデビューを果たした「らっぷびと」を中心とした"ニコラップ"などもこの時期から投稿され始めていたようです。



こうしてニコニコ動画を代表するジャンルとなった「歌ってみた」でしたが、2007年8月に起きたとある事件により、一時的に投稿自体が下火になるという危機的状況に追い込まれることになります。

そんな「歌ってみた」の復活に一役買ったのは、ちょうど8月末に発売されたばかりのボーカロイド「初音ミク」の存在でした。

意欲的なクリエイターによって初音ミクオリジナル作品が投稿され始めると、並行して「歌ってみた」も再び盛り上がり、これが後に「歌ってみた」の最大勢力となるジャンル「ボカロオリジナルを歌ってみた」へとつながっていくことになります。



その後、2008年からは「ボカロオリジナルを歌ってみた」を中心に各ジャンルの「歌ってみた」がそれぞれ急速に発展、ニコニコ動画ユーザーの拡大に伴って新たなカリスマ的な歌い手が姿を現し始めます。

その後の「歌ってみた」の展開については、次回詳しく見ていくことにしましょう。

勝手エヴァンジェリスト・山田井ユウキ

1980年生まれ。レビューサイト「カフェオレ・ライター」で、映画、漫画、ゲームなどを独自視点からレビューする他、「builder by ZDNet Japan」「ハリウッドチャンネル」など各種媒体で記事を連載中。どんなに忙しくても一日数時間ニコニコ動画に費やすという、社会人としてあるまじき生活を謳歌中。好きな動画ジャンルはゲーム実況、ボカロ、他エンタメ系全般。
(タイトルイラスト:3P3P) ※本コラムで紹介している動画は、作者やサイトなどの都合により削除されることもあります。あらかじめご了承ください。