小田急電鉄は1月29日と30日の2日間、「5000形10両さよなら運行」を実施した。イベントは、参加者を乗せた特別列車の運行(新宿 - 唐木田間)と、唐木田車庫で撮影会の2部構成。各日450名、合計900名の参加枠に対して約3,900通の応募があり、抽選に漏れたファンも新宿駅や沿線各駅で最後の姿をカメラに収めようと、大賑わいの2日間となった。

通勤形として最後の抵抗制御車

4両編成の5065Fはまだしばらく活躍が続く

小田急電鉄5000形電車は、4両編成と6両編成の2タイプあるが、この日で運行を終了することとなったのが6両編成の通称5200形。この形式は1969年より製造され始め、以降小田急の通勤車の顔となっていく。1982年まで増備が続けられて約40年ほど小田急沿線の足となって活躍、延べ走行距離は530万kmになるという。しかし、消費電力の多い抵抗制御車ゆえ、省エネ性能が重視されるようになると、順次VVVF制御車に置き換えられていき、淘汰が進んだ。そして、ついに残すところ4両編成6本と6両編成1本のみとなり、6両編成の5268Fが廃車となるため10両編成での運行はこれで最後となった。ちなみに、4両編成は存続するため、5000形が完全に消滅するわけではない。

参加者に配られた乗車記念弁当

こちらは参加者に配布された記念品。内容は登場時のパンフレット復刻版、仕業表、ピンズバッジ、乗車証、参加賞、ヘッドマーク形のPOP

それでは、30日に実施された模様をお届けしよう。特別列車の発車は11時22分を予定していたが、10時30分前にはすでに参加者が新宿駅に集い、記念品とお弁当の受け取りが行われていた。そして1番2番ホームには参加者およびファンが5000形の入線を待っていた。目立っていたのはもちろん10代から60代までの男性鉄道ファンだが、次に多かったのは子供連れのお母さん。不思議と父親も一緒、というパターンが少なかった。

さよなら5000形10両のヘッドマークを付けた5065F + 5268Fが入線

11時18分頃、「さよなら5000形~10両~」のヘッドマークをつけた5000形が入線。一斉にシャッター音が響くのだが、フラッシュを焚いてしまう人がいたのが困りもの。運転士が安全に運転できなくなるので、絶対にやめてほしいものだ。

緊急停車が2連続するアクシデント

参加者はすぐに車内へと通され、新宿駅に集まったファンに見送られながら11時20分頃に新宿駅を発車。車内広告はさよなら5000形10両のポスターで統一され、往年の活躍シーンを楽しむことができた。しばらくすると、さっそくお弁当を広げる方も。普段ロングシートの通勤形電車で食事をすることはできないので、ちょっとした非日常感を楽しめたようだ。

イベント列車内の広告は、さよなら5000形10両のポスターで彩られていた

先頭車両の運転席はこのとおりの混雑

通過駅や沿線にも、ラストランの様子を撮影するためにファンが集まっていた。各駅十数人から数十名がカメラを構えており、通勤形電車のラストランとしては珍しいことではないだろうか。中には「ありがとう5000形10両運転! 」とプラカードを掲示する方も。この心遣いに、特別列車内では盛大な拍手が沸き起こった。

多摩川を越えるところで、東京スカイツリーが見えると車内アナウンス。あまり知られていなかったようで、参加者は一斉にカメラを外に向けた