アジア時間概況
海外時間の流れを受けても、今晩の米雇用統計を控えて、どの市場も模様眺めの状態。
ユーロは1.32台前半、ドル円は83円台後半で膠着し、株式市場も海外時間の流れを受けた朝方の堅調地合いも、利益確定の売りや、中国のサービスPMI指数の低下を受けて反落した。
ただ、どの指標においても値動きは小幅で終始している。ピアナルト・クリーブランド地区連銀総裁のQE2に対するコメントや、IMFの中国の不動産価格形成に対する懸念のコメントにも、反応は限定的だった。
本日の主要経済指標
・17:15 スイス : 11月消費者物価指数
・17:55 ドイツ : 11月PMIサービス業(確報値)
・18:00 ユーロ圏 : 11月PMIサービス業(確報値)
・18:30 英国 : 11月PMIサービス業
・19:00 ユーロ圏 : 10月小売売上高
・21:00 カナダ : 11月雇用ネット変化率
・21:00 カナダ : 11月失業率
・22:30 米国 : 11月雇用統計
・24:00 米国 : 11月ISM非製造業景況指数
要人発言
・16:30 ユーロ圏 : トリシェECB総裁の発言
欧米時間の見通し
ECB理事会後の展開については、一旦はECBの出口戦略が先送りになったことからユーロや欧州株式市場は反発を見せたが、スペイン・ポルトガルに対する懸念が払しょくされている状況ではない。NY時間においてECBがアイルランド・ポルトガルの債券を買い入れているという観測があるものの、利回りで見れば0.5%程度の低下にしかなっていない。
実際、アイルランドの予算削減案が実行されるかどうかも決定されていない上、問題視されている国々における課題もクリアされていない状態では、リスクが回避されたと見るには時期尚早であろう。英経済紙においては考えられるシナリオを5つあげ、市場関係者の間で話題になっているが、当面ECBは出口戦略模索のスタンスは凍結することになるだろう。
こういった中、年末要因とはいえ、市場金利はやや上昇気味。欧州金融機関の融資額に対する警戒感を合わせると、金利先物の展開には注意しておいた方が良いか。
ちなみに、ある英経済紙では、将来的に考えられるユーロ圏当局者の選択肢として、5つの可能性が紹介されている。最も現実的なのは現状行われている国債買い入れ額を拡大させること。最悪シナリオとしては、ユーロ構成国の再構築ということなのだが、すでに進んできたこれまでの恩恵を解消してまで最悪のシナリオの可能性は低いとみられる。
ただ、市場関係者の間でも、様々な可能性を考えていると思われ、リスクシナリオという意識があるうちは、ユーロの反発地合いは継続しにくいかもしれない。
そして、市場の注目である米雇用統計。
今週までの雇用関連の米経済指標の内容を受けて、市場では期待先行の状態で、2カ月連続の良い内容を意識していると見られる。
市場の予想平均は、非農業者部門雇用者数及び民間部門雇用者数ともにプラス15万人前後。既にこの数値は織り込まれていると思われ、さらにリスク思考になるためには、ポジティブサプライズが必要になろう。
予想通りの結果であれば週末ということもあり、欧州問題が解決したわけではないという警戒感とも合わせて、利益確定の動きが優勢になりやすいか。ただ、そうはいっても2カ月連続で良好な数値となるのであれば、ユーロの出口戦略よりはFRBのスタンスの軌道修正の話題が出てくることになるため、株式市場は堅調に推移しやすいか。その場合の米金利動向次第では、米ドルも好感される可能性が出てくる。
逆に市場予想平均を下回れば、反落しやすいとみられ、予想範囲下限となればかなりの反動が出てくる可能性がある。
為替市場ではユーロの200日移動平均線が存在する1.3135-45がサポートされるかどうかの注目しておきたい。また、対円では90日移動平均線の他に、本邦実需筋からの売り圧力も控えているといわれている。ポジティブサプライズがなければ、ドル円の85円は近くて遠い存在になるのであろうか。