昨日の海外市場
欧州タイムは、連邦公開市場委員会(FOMC)を意識し、積極的なリスクテイクは控えられる展開へ。再び量的緩和の規模への不透明感から、為替市場はドル買い優勢、株式市場は終始上値の重い状況が継続した。
その後NYタイムに入ると、10月のADP雇用統計やISM非製造業景況指数が市場予想を上回ったことにより、為替市場ではドル買い圧力が更に強まった。
ドル高と米FOMCを控え、序盤の株式市場は様子見ムード一色となるも、FOMC声明文で、来年半ばまでに6000億ドル規模の国債を追加購入する方針(毎月750億ドル購入)が示されると、リスクテイクが徐々に強まる展開へ。米SPX500は、1200の心理的ラインを一時上抜ける場面も見られた。
一方、為替市場でもドル売り圧力が強まった。ユーロドルは心理的ライン1.40がサポートとして機能したこともあり1.4153までドル売りが進行。豪ドル/米ドルも、パリティ(等価)価格(1.00)を完全に上抜けたまま、本日のアジア時間を迎えようとしている。
本日の主要経済指標
・09:30 豪 : 9月貿易収支
・09:30 豪 : 3Q小売売上高
・09:30 豪 : 9月小売売上高
・17:15 スイス : 10月消費者物価指数
・17:55 ドイツ : 10月PMIサービス業(確報値)
・18:00 ユーロ圏 : 10月PMIサービス業(確報値)
・19:00 ユーロ圏 : 9月生産者物価指数
・21:00 英国 : BOE(英中央銀行)政策金利発表
・21:30 米国 : 3Q非農業部門労働生産性(速報値)
・21:30 米国 : 新規失業保険申請件数
・21:45 ユーロ圏 : ECB(欧州中央銀行)政策金利発表
・23:00 カナダ : 10月Ivey購買部協会指数
・26:00 米国 : 10年インフレ連動債入札(100億ドル)
要人発言
・11:30 日本 : 白川日銀総裁の発言
・22:30 ユーロ : トリシェECB総裁記者会見
アジア時間の見通し
市場の関心を集めた米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和の規模は、市場の中心予想額5000億ドルを越える規模(6000億ドル)となった。これにより投資家の不安心理は後退し米株は上昇。
朝方の香港HSが24000のラインをついに突破する展開となっているだけでなく、日本225種も再び9300のラインを試す状況が強まっていることを考えれば、米市場で発生したリスクテイクのトレンドは、本日のアジア時間へも引き継がれる可能性は高いか。
本日のアジア株、特に日本225種は、日米の金融緩和を背景にドル安が進行していることから、どこまで上値を試すかがポイントとなりそうだ。
既に発表された10月4・5日開催の金融政策決定会合の議事要旨では、過去にとった金融政策と同様に実質ゼロ金利を消費者物価指数(CPI)がプラス1%程度に上昇するまで継続させることに加え、元本保証のない指数連動型上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(J-REIT)も盛り込んだ総額5兆円規模の金融資産買い入れという異例の措置を講じることまで表明されている。
また、アジア株式の原動力となっている中国経済についても、世界銀行が四半期ごとの報告書で、10年の成長率予想を当初の9.5%から10%に、11年のそれに関しては8.5%から8.7%へとそれぞれ上方修正したことも、アジア株式全体にとってポジティブ要因となる可能性があろう。
一方、為替市場では、金融引締め観測の強いユーロをはじめとし、利上げを実施した豪ドルといった通貨へ更に資金が流入する可能性が強まってきた。
特に豪ドルは対米ドルで再びパリティ(等価)価格を上抜ける展開となっており、テクニカル的に1.00がサポートラインとして意識されれば、更に上値追いの展開になることも考えられる。そうなれば、再び円相場の主導権はクロス円が握ることになり、豪ドル円は5月14日以来となる82.00のラインを突破するか注目される。
また、ユーロ円も200日移動平均線(MA)をトライする状況となっており、このMAを突破すれば、心理的ライン115.00が次のターゲットとして浮上する可能性が強まろう。
ただ、9時半に発表される豪経済指標には要注意。特に小売り売上高の結果が市場予想を下回るようなことがあれば、上昇スピードが急劇だった分、利益確定売りが強まることも考えられる。