東京証券取引所グループ 代表執行役社長の斉藤惇氏は26日、定例の記者会見において、2010年度以降のできるだけ早い時期に行うとしてきた東証自身の上場計画について、「現実的には、今年度(2010年度)中の上場は非常に難しくなっている」と述べ、業績低迷を受け、今年度中の上場を断念する考えを明らかにした。

東京証券取引所グループ 代表執行役社長の斉藤惇氏は、東証自身の上場計画について、「現実的には、今年度中の上場は非常に難しくなっている」と述べた

斉藤氏は26日の定例会見の冒頭、東京証券取引所グループの2011年3月期の第2四半期連結累計決算(2010年4月~9月)について発表。これによると、株券の売買代金が前年同期よりも減少したことで取引参加料金が前年同期比7.3%の減少となったことなどが響き、営業収益(売上高に相当)が前年同期比5.8%減の283憶5,600万円に、営業利益は同16.6%減の65憶2,000万円、経常利益は同14.5%減の73憶5,800万円となり、減収減益となった。

東証の業績が低迷する中、2010年度以降のできるだけ早い時期に行うとしてきた東証自身の上場計画について、斉藤氏は、今年度中の上場の可能性について、「非常に難しくなったな、ということですね」と述べた上で、「2010年度(2011年3月期)の決算が、ただいま報告したように、赤字になることはないんですけれども、来年の3月で締めます数字も、去年の数字に及ばないんじゃないかと」とし、2011年3月期決算が、通期でも前年同期を下回る見込みであることを説明。

「そういうことになりますと、3期連続の減収減益という会社になる。3年連続の減収減益の会社が(上場に)おいでになったら、少なくとも転換点を見てから来てくださいと言うんじゃないかと思いますよ。上場審査部に(3期連続の減収減益の決算の書類を)提出したら、増収増益になってから来てくださいと言われると思いますよ」と述べ、東証自身の業績が低迷していることが、上場のハードルとなっていることを明らかにした。

その上で、あらためて、「ちょっと現実的には、今年度の作業(上場)は無理だな、と思っています」と述べ、「残念ですけれども」と無念さもにじませた。

また、東証の取引時間の拡大(昼休みの撤廃・短縮)についての議論に関し、10月25日付の日本経済新聞で「昼休み廃止見送り」と報道されたことに対しては、「東証自身が決めた案は何もない」とし、結論については、「早くて11月末、場合によっては12月になる」と従来のスケジュール通り決めていく方針と述べた。

円高などにより景気の減速懸念が出ていることに関しては、「直接介入しろということは、あまり言うつもりはありません。日銀はできることはぎりぎりまでほとんどやっている」とした上で、「ゼロ金利・金融緩和を20年やってきて、結局GDPはゼログロース(ゼロ成長)。やっぱり(経済)構造を変えなきゃ駄目」と述べ、「減税、規制緩和、アグレッシブな外資の導入、医療の開放とか、政府の役割があるはずなんですね」と、政府による構造改革が進んでいないことを批判。

「本当の経済が悪いというよりも、日本人がそういう政治を選んでいるんだし、日本人自体がやはり目が覚めてない」と、日本人の政治・経済に対する意識について意見を述べていた。