東京証券取引所グループ 代表執行役社長の斉藤惇氏は24日、定例の記者会見において、東証の取引時間延長に関連するパブリックコメントにおいて寄せられた『昼休みの撤廃または短縮』に関するコメントのうち、約7割が「撤廃に反対」との意見であったことを明らかにした。

斉藤氏は、パブリックコメントにおいて寄せられた『昼休みの撤廃または短縮』に関するコメントのうち、約7割が「撤廃に反対」との意見であったことを明らかにした

東証では2010年7月26日、斉藤惇社長が記者会見で示した「取引時間の拡大に関するディスカッション・ペーパー」において、(1)昼休みの撤廃または短縮、(2)現物市場における夜間取引の導入、(3)派生商品(デリバティブ)市場におけるイブニング・セッションの取引時間拡大、(4)午前立会開始時間の前倒し、の4つの取引時間の延長案を提示し、これらの案について検討すると発表。同日から9月10日まで、パブリックコメント(意見募集)を実施した。

斉藤氏は9月24日の定例会見の冒頭、今回の意見募集について、「他の案件のパブリックコメントと比較すると、かなり多くの意見があった」と説明、個人から88件、法人・団体から40件の意見が寄せられたことを明らかにした。さらに「詳細はあらためて公表する」としながら、その概要について説明した。

斉藤氏によると、4つの取引時間の延長案のうち、最も関心が高かったのは、『昼休み(午前11時~午後0時30分)の撤廃または短縮』に関する意見で、コメント全体の4分の3を占めた。この昼休みに関連するコメントのうちの約7割が、昼休みの「撤廃」に反対する意見だったという。さらに、撤廃に反対する意見の中で、昼休みを「短縮」することへの意見は、賛否同程度だったという。

斉藤氏は、昼休みの撤廃・短縮に「賛成」する意見には、「国際的な市場間競争の観点から、昼休みのない欧米市場に合わせるべきだ」という意見や、サラリーマンの投資家から、「昼休みに投資できる機会を拡大してほしい」という意見があったと述べた。また、昼休みの撤廃・短縮に「反対」する意見には、「昼休み前後の板寄せ(※)による売買機会がなくなることで、むしろ利便性が低下する」という意見があったとした。

※ 板寄せ方式とは、売買立会の始めの約定値段(始値)や売買立会終了時における約定値段などを決定する場合に行われる売買契約締結の方法をさす。同方式は、約定値段決定前の呼値(注文)をすべて注文控え(板)に記載したうえで価格的に優先順位の高いものから対当させながら(価格優先原則)、数量的に合致する値段を求め、その値段を単一の約定値段として売買契約を締結させる方法となっている

"昼休み"関連以外のコメントに関して斉藤氏は、「言及しているコメント自体が全体の半分にも満たない件数であって、相対的に皆さんの関心がない」としながら、『現物市場における夜間取引の導入』に関しては、「個人の賛否は拮抗(きっこう)、法人は反対意見が多い」と述べた。

また、『派生商品(デリバティブ)市場におけるイブニング・セッションの取引時間拡大』については、「積極的な意見はほとんどなかった」、『午前立会開始時間の前倒し』についても、「積極的な賛成意見はほとんどなかった」と話した。

ネット証券各社のアンケートで、昼休みの撤廃または短縮について、投資家の多くが賛成している件については、「全く無視するつもりはないが、流動性が一つのスタンダードになるので、大きな玉(ぎょく)をトレードしている法人体や、外国の機関投資家が言っている意見も無視することはできない」とした上で、「いろんな意見をいただいて、最終的には市場運営委員会で決めていく」と話していた。