米Amazon.comは9月28日(現地時間)、「Kindle for the Web」のベータ版を発表した。PC用/Mac用のKindleリーダーアプリケーションをインストールしていない状態でも、Webブラウザから直接Kindle版の電子書籍(以下Kindleブック)のサンプルを読める。Webアプリ版のKindleリーダーだ。

Kindle for the Webでは、ブラウザ画面内でKindleブックが単ページで開く。リーダー機能としては、フォントサイズ、行間隔、文字間隔、背景色などの変更が可能で、「ページを進む」「ページを戻る」「埋め込みコード」「共有」などのボタンを備える。共有機能は電子メールと、FacebookおよびTwitterをサポート。右上に配置された「Get Kindle Edition」ボタンをクリックするとAmazon.comのページが開く。

Kindle for the Web Beta。画面下部の青い線はページの位置。左右のボタンのほか、ページバーのドラッグでもページ移動が可能

表示設定。Kindle for the Web Betaを動作させる推奨ブラウザはFirefox 3.6、Safari 5、Chrome 5など

同日よりAmazon.comはKindle版を購入できる書籍のページに「Read first chapter FREE」というボタンを設けて、ユーザーがKindle for the Webを使って第1章を無料で読めるようにしている。

サンプルページの表示という点ではAmazonの書籍ページで提供されているLook Inside the Book (なか見! 検索)に似ている。違いについて同社は「書物をスキャンしたコピーを通じて本の印象を伝えるLook Inside the Bookに対し、Kindle for the WebはデジタルなKindle版ならではのオンライン体験を提供する」と説明している。狙いはネット全体にKindleブックの立ち読み機能を浸透させ、口コミ効果を高めることだ。Kindle for the Webはアフィリエイトプログラム「Amazon Associates Program」と連係する。Webサイト/ブログに埋め込まれた同アプリのリンクから訪問者がKindleブックの購入を完了した場合、書籍紹介者に報酬が支払われる。また書評サイトや本を紹介するブログにとって、訪問者がその場で本の内容を確認できるKindle for the Webの埋め込みは、紹介記事の説得力を高め、訪問者の購入意欲を刺激する効果が期待できる。

現時点でKindle for the Webはサンプル表示専門だが、Webアプリ版のKindleリーダーと呼べる機能を十分に備えている。長期的には、Chrome OSデバイスのようなWebアプリしか動作しないデバイス向けにAmazonがKindleリーダーを提供できる可能性を示すものでもある。

  • 500×400で埋め込んだKindle for the Web Beta