2008年8月より配信開始となったWEBアニメ『イヴの時間』が、劇場版となって2010年3月6日より、池袋テアトルダイヤほかにて公開される。新作シーンを加え、「『イヴの時間』<1st. シーズン完全版>」として再編集された本作だが、WEB配信版から劇場版になるにあたって、どのような進化を遂げているのか? 公開初日を目前に控える今回は、『イヴの時間』の原作者にして、監督・脚本・絵コンテ・CG制作・音響監督などを務める吉浦康裕監督に作品の魅力、そして『イヴの時間』が劇場版になって繰り広げる新たな世界について伺ってみた。

『イヴの時間 劇場版』は2010年3月6日より公開開始

※インタビュー中、一部ネタバレに近い部分も含まれていますので、あらかじめご了承ください。

劇場公開直前! まずは現在の心境について

――『イヴの時間 劇場版』の公開が近づいていますが、現在の率直な感想はいかがですか?

吉浦康裕監督

吉浦康裕監督「けっこうドキドキした感じですね。今回の劇場版は、WEBで配信したものに新規シーンを追加しているのですが、実はそれにとどまらず、ほぼ全体に関して再調整を施しているんですよ。なので、ぜひ劇場の環境で、映像や音響を楽しんでいただけるとすごくうれしいのですが……。とにかく観ていただきたい。まずは、そこですね(笑)」

――WEB配信では300万視聴回数という数字を叩き出し、DVDの販売も好調な『イヴの時間』ですが、やはりそのあたりの不安はありますか?

吉浦監督「もちろんです。そういった結果も残っていますが、劇場作品というのは、それとはまた違ったものだと思っているんですよ。実際に自分も劇場環境の大きな画面、そして立体的な音響で観たのですが、これはもう全然WEBとは違ったものになっていました。なので、声を大にして、『劇場に観に来てください』って言えるデキにはなっていますが、何だかんだで不安でドキドキしています(笑)」

――新規シーンについては観てのお楽しみというところですが、今回の劇場版において、WEBで配信した映像をそのまま利用している部分はどれくらいありますか?

吉浦監督「実はそのままというのはあまりないんですよ。特に第1話から第5話に相当するシーンは、ほぼ全カットに手を入れています。最終話だと半分くらいはそのままという感じですね。これはやはり、第1話を作ったときから第6話を作ったときまでの間に、だいたい1年くらいの期間があるんですよ。その間に、だんだんとノウハウがたまっていっているので、第6話は、ある意味、完成形になっているわけです。その上であらためて第1話を観ると、まだまだ足りない部分がたくさんあったので、いろいろと手直しをしています」

――CGの場合、手直しのテマというのはどのくらいになるのでしょう?

吉浦監督「やり直したり、修正するときに、外に出さなくても良いところはCGの利点ですね。CG部分は自分たちだけでできますから。作画についても手直しをしているのですが、今回は一切外に出さず、全部デジタル上で修正しています。それができるのも、デジタルならではの強みだと思います」

――新規シーンに関しては外に出している感じですね

吉浦監督「そうですね。そこはこれまで通りといった感じです。ただ、新規シーンに関しても内輪だけで処理した部分がけっこうあります」

――これまでのようなパソコンの画面で観るのと、劇場のスクリーンでは観るのとでは、印象も大きく変わってきますよね

吉浦監督「劇場版は、ただ大きい画面で観られるというだけではなく、ハイビジョン画質での上映になっている点も注目ですね。なので、これまで見えなかった部分、たとえばモニタの文字やカレンダーの日付なんかも見えてくると思います。あと、WEB配信のころは、処理もざっくりと大雑把な感じだったのですが、今回はハイビジョン画質にあわせてすべて調整を施していますので、細かく見せたい部分はさらに鮮明になっていると思います。第1話に関しては美術のレタッチもやり直しているので、かなり印象が変わってくるのではないでしょうか」

――画質の面でもこれまでで最高のものが劇場では観られるということですね

吉浦監督「WEB配信やDVDで観ていただいていた方にこそ観ていただきたい、というと少し大げさですが、自分で観ても、『これはちがう体験だな』って思いました。もちろん画質だけではなく、演出面の工夫もありますので、そのあたりも注目してほしいですね」

――演出というと、冒頭部分の文字の出し方もWEB版から少し変更されていますよね

吉浦監督「そのあたりは、劇場のスクリーンで観ることを意識した変更になっています。あと、冒頭から、『今回はちがいますよ』ということを見せたかったというのもありますね(笑)」

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