代表的な日本の避暑地として誰もが思い浮かべる軽井沢。避暑地としての歴史は、1886年にカナダ人宣教師・アレキサンダー・クロフトショーが来訪し、その地に小さな別荘を建てたことに始まる。

以来、軽井沢は夏は避暑地として、冬はスキー場として人が集まるようになった。しかし、雄大な自然を構え、年間を通じて四季折々の明光風靡な情景を味わうことができるこの地だが、夏・冬に比べて春・秋の観光客集めには課題を残す。

四季折々の風景に出会える、軽井沢プリンスホテルイースト

そんな軽井沢において、伝統あるホテルとして知られている「軽井沢プリンスホテル」は、1950年創業の「晴山ホテル」が前身となり、1973年に開業。建築家・黒川紀章氏が設計を手がけた最先端ホテルは、以降も「自然との調和・共存」をテーマに、ゴルフ場や宿泊施設などを構えた総合リゾート施設として発展。そんな中、2006年に天然温泉を掘削したことから、2007年7月には「軽井沢プリンスホテルイースト」を大幅にリニューアル。温浴施設、スパ・トリートメント施設を建設し、「スパ デスティネーション ステイ」と称した、スパを目的とする森のエリアにおける滞在スタイルを提案した。

夜は一味違う装いをみせる ※軽井沢プリンスホテルイースト外観

そんな歴史と発展を遂げ、35周年を迎えた2008年4月に開始されたのが2泊3日の「デトックス・ステイ・プラン」だ。施設や設備などハード面の充実を尽くしてきた一方で、ソフト面を強化するものとして新たに考え出された。

このプランでコンセプトとされるのは「休」、「動」、「摂」。この3つを柱に、滞在中は、「デトックス料理」、「スパトリートメント」、「ウォーキング」の3本セットが提供される。

「デトックス・ステイ・プラン」では、軽井沢の自然の中でウォーキング指導を受けたり、デトックス料理を楽しめる

同ホテルによると、プラン開始の初年度である2008年には300名、2009年度は384名と年々利用者を増やしている。同ホテルの総支配人・小山正彦氏は「滞在型のデトックスプランというと、海外では1週間から10日をかけて体質改善を行うというのが主流だが、1~2泊程度というのが日本人にとってスタートしやすいプランなのではないか。また開始初年度は春・秋の限定実施だったが、翌年は4~11月まで連続実施し、季節ごとのスパキュイジーヌを提供するなど毎年進化するプランとなっている」と述べ、過去2年間の実績を踏まえ、今年も4月1日から開始される2010年度の同プランの概要を説明してくれた。

地元野菜たっぷり! 地産地消のデトックスメニュー

2010年度のプランで特徴的なのは、1泊2日または2泊3日の「リラックス ステイプラン」が新たに加わった点だ。ホテルによると、過去の利用者からは「もっと(ウォーキングなどのアクティビティを)レベルアップして欲しい」という声がある一方で、「ショッピングや観光も楽しみたかった」という要望があり、ライトな感覚で体験的に利用できるプランを用意したのだという。

軽井沢プリンスホテルイースト客室イメージ

ウォーキングからスパトリートメント、朝昼夕の食事メニューが2泊3日でフルに盛り込まれた「デトックス ステイプラン」に対して、「リラックス ステイプラン」では、2泊3日のプランでトリートメントメニューを2回、1泊2日のプランで1回体験し、食事も朝食のみとなり、それ以外の時間はフリータイムとして観光や温泉、ショッピングなどが楽しめるスケジュールとなっている。

また、同プランで注目したいのは、薬膳料理研究家の村岡奈弥氏の監修による「デトックスキュジイーヌ」が提供される点。デトックスキュジイーヌでは、季節感のある食材を体内に取り込み、体内にリズムを生み出すことで「滋養」と「排出」を行うという考え方に基づき、地元で収穫された旬の食材を中心に、体内の循環を意識して考えられたメニューが四季に応じて用意されるという。「体にしっかり力がないと排出できないので、食事で栄養をしっかり取り入れることが重要。その季節に体内に溜まったものを排出しないと次の季節にも持ち越してしまうので、排出しやすい食材を選んでメニューが考えられている」(村岡氏)。

食事を通してカラダもリセットできる

ホテル側の説明によると、同プランのこれまでの利用者は9:1で圧倒的に女性が多いという。また、年齢層は初年度は50代が多かったが、2年目の昨年は30代の利用者が増えたそうだ。その中でも1人での参加者が37%を占めているが、「ステイ中に(アクティビティを通して)友だちをつくられる方も多いです」(同社広報)。

同プランのプロデュースにあたる、ウェルネス・アリーナ代表取締役社長の梶川貴子氏は「日本ならでは、軽井沢ならではのスパプランを提供したい。軽井沢の四季を味わってもらえれば」と話す。料金は、1室2名利用の場合で「デトックス ステイプラン」が6万3,000円~、「リラックス ステイプラン(1泊2日)」が2万6,500円~、「同(2泊3日)」が4万9,000円~。

「デトックスキュイジーヌ」の一例

「滋味っ葉と焼き椎茸サラダ 冬バージョンと里芋のロックフォールチーズ焼きの盛り合わせ」
軽井沢の地元野菜"滋味っ葉"やわさび菜、からし菜が盛られたサラダはピリっと辛くて体が温まる。里芋を使ったガレットは、ロックフォールチーズの塩味と信州産の蜂蜜の甘さが調和したお菓子のよう

「岩魚の燻製そばパスタ 山椒の香り」
燻製とオリーブオイルがしっかり絡んだ、そば粉のパスタ。その上の山椒は味を引き締めているだけでなく、お腹を温め、冷え防止の効果もあるという

「ポトフ 下仁田葱、白菜、蕪、小松菜、平茸など」
秋冬に信州で獲れる野菜と地鶏のポトフ。そのままだと淡白であっさりとした味わいだが、お好みで付けて食べる、藻塩、黒粒コショウ、梅干にんにくペーストで味の変化が楽しめる

「季節のピラフ」
すりおろしたニンジンが入っている。ピラフというよりも炊き込みご飯といった和風な味覚

「信州産洋ナシのスープ チョコレート風味」と「ハーブティー」
洋ナシのコンポートにチョコとミント、黒コショウがかかった、スパイシーな味。体液を補い、体を乾燥から守る効果があるという。ハーブティーは、カモミールティーにりんご果汁の酸味と甘みが加わってまろやかで飲みやすい