3月12日に発売となるOVA『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』第1巻(全6巻予定)。その発売に先駆け、episode 1を劇場で上映するプレミアレビューが2月20日から全国5都市の劇場にて開始され、東京の新宿ピカデリーで初日舞台挨拶が行なわれた。

『機動戦士ガンダムUC』は、『亡国のイージス』などを手掛けた小説家・福井晴敏の同名小説を映像化。劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』から3年後の世界となる宇宙世紀0096を舞台とし、「宇宙世紀」を描くガンダムシリーズの正統な続編となる。なお、プレミアムビューは東京(新宿)、名古屋、大阪、札幌、福岡で3月5日まで。東京(六本木)、千葉、埼玉では、2月27日から3月12日まで開催。劇場鑑賞者には、先着1万人限定でBlu-ray Disc版第1巻の先行販売も実施される。また、PlayStation Storeでの先行配信も実施中で、プレイステーション3、プレイステーションポータブルで視聴可能(有料)。

東京(新宿)での舞台挨拶には、古橋一浩監督、原作小説・ストーリー担当の福井晴敏、音楽担当の澤野弘之、主題歌担当のCHiAKi KURiYAMA(栗山千明)、バナージ・リンクス役の内山昂輝、オードリー・バーン役の藤村歩が登場。以下に、登壇者が語った作品に対する思いを紹介する。

OVA『機動戦士ガンダムUC』

壇上で思いを語ったキャストとスタッフ陣。左からバナージ・リンクス役の内山昂輝、オードリー・バーン役の藤村歩、古橋一浩監督、主題歌担当のCHiAKi KURiYAMA、原作小説・アニメストーリー担当の福井晴敏、音楽担当の澤野弘之

■内山昂輝(バナージ・リンクス役)
自分は、実はあまりガンダムを知らなかったんですね。まさにその作品に自分が関わるとは思っていなかったので、バナージ役が決まったと言われた際は、実感が沸きませんでした。しかし、決まってからいろいろ調べていくうちに、アムロ・レイたちが活躍した宇宙世紀のなかでの新作ということを理解し、大変なことだと初めて気付きました。バナージは同姓代との友達とのズレを感じていたりと、鬱屈した部分を心に抱えています。そういったものは自分も感じることがあるので、親近感が沸きますね(笑)。『UC』はまだ始まったばかりの作品です。すばらしいアニメーションとの相乗効果を埋めるよう、しっかりと演じていきたいと思います。

■藤村歩(オードリー・バーン役)
内山さんと同じく、ガンダムという作品は知っていても、詳しい内容は知りませんでした。なので役が決まってから、この作品のヒロインを演じるんだという気持ちで、劇場版3部作を見始めていました。しかし、見ているとその展開に一気に引き込まれ、いつしか一視聴者になっていましたね(笑)。オードリーというヒロインは、バナージを惹き付けて彼を物語に巻き込んでいく、不思議な魅力を持った存在です。アフレコでは、そういったカリスマ性みたいなものが彼女から感じられるように演じようと、いつも心掛けています。正直、プレッシャーは大きいです。私もガンダムを愛するひとりとして、楽しんでオードリーを演じていけたらなと思っています。

役が決まるまで、ガンダムを深くは知らなかったと語る内山と藤村。実際に作品に触れ、その奥深さに引き込まれていったようだ

■福井晴敏(小説・ストーリー担当)
アニメ化には相当なプレッシャーがありますが、実はそれを言い出したのは自分だったりします。最初に思いついてから5、6年経ちますが、関係者に「売れますよー」と声を掛けて制作を進め(笑)、なんとかこの日を迎えられました。バナージ役の内山さん、オードリー役の藤村さんはセンスがよく、安心しておまかせできています。まさにニュータイプ声優ですね。ぜひふたりには、自分たちを踏み台にして、声優の道を登り詰めてほしいです。作品として第1作については、なんとか皆さんより合格点をいただけたのかなと思っています。全6部作として、スタッフ一同でがんばっていきますので、よろしくお願いします。

■古橋一浩(監督)
『機動戦士ガンダム』は自分が上京したときに始まった作品で、もう30年前です。自分も親の代になり、そしてその作品の監督をするということに、作品として一巡りしたのかなと感慨深いです。本作では、全編を通して父と子というテーマを、幾重にも重ねていきます。自分も、若いニュータイプの方々と仕事をすることを含めて、親と子というものをなぞらえながらやっていこうと思っています。血が繋がっている人間や、そうでない人間も合わせて、次世代に繋げていくということを描いていきたいですね。ニュータイプという存在自体は語り尽くされていますが、その語り尽くされた部分にどのようにして生きている実感を付与するかが、一番重要なポイントだと思っています。

■澤野弘之(音楽担当)
参加が決まったときは、「まさか」という感じでした。僕が映像音楽を目指し始めたのが高校生ぐらいで、そのときテレビで劇場版を見て以来、ものすごくハマりました。それから20年近く経ちますが、ガンダムの音楽を担当するのが夢だったので、お話を聞いたときは、喜ぶよりも驚きが大きかったです。『UC』で制作した曲で思い入れが強いのは、バナージのテーマです。音楽の仕事を始める前に、「自分がガンダムの音楽を作ればどうなる?」と妄想しながら作った曲がもとになっています。どこかで使えればとずっと思っていたところに今回のお話をいただき、これは使わないわけにはいかないだろうと思いました(笑)。フルオーケストラでの収録もでき、とても気に入っています。

■CHiAKi KURiYAMA(主題歌担当)
小さいころは、兄とガンダムを見て育ちました。そんな思い入れのある作品に関われるということに、すごくびっくりしています。そしてこの曲は『UC』のメインテーマであり、私自身のデビュー曲でもあります。これから歌手としてやっていく第1歩として、この曲を掲げたいと思っています。歌詞にもすごく共感できて、私自身、とても気持ちよく歌える曲です。作品と同時に、『流星のナミダ』も愛していただけたらと思っています。

ゲストとして、主題歌『流星のナミダ』を歌ったCHiAKi KURiYAMA(栗山千明)が登場。この日の衣装について、「オードリーをイメージしてみました」と明かした

スタッフから栗山千明へのサプライズプレゼントとして、ユニコーン座の星に「CHiAKi KURiYAMA星」と命名した証明書が贈られた。それに福井は「ここで宇宙人が見つかると、栗山星人になりますね(笑)」と、ひと言

episode 1は、モビルスーツ同士によるバトルなど、アクション要素満載の内容で展開。見る人を一気に作品へと引き込んでくれる内容となっている。劇場で見られないという人も、ぜひPlayStation Storeでの先行配信、そしてBlu-ray DiscやDVDで、ガンダムの新たな歴史を目に焼きつけてもらいたい。

3月12日発売となる第1巻Blu-ray Disc初回限定版のジャケット。Blu-ray Disc版は5,040円、同時発売のDVD版は3,990円

CHiAKi KURiYAMAの『流星のナミダ』(2月24日発売)初回版ジャケット。PVなどの特典も収録し、価格は1,529円

3月10日発売のサウンドトラック『機動戦士ガンダムUC ORIGINAL SOUNDTRACK』。全24曲を収録し、価格は3,100円

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