――『ギャグマンガ日和』の中で気に入っているキャラクターはありますか?

前田「僕が演じた役の中で、一番印象に残っているのは、第二期にやった『腹筋がとれたワン』っていっている先生ですね。『ネコちゃんの腹筋』に出てきたドッグトレーナーなんですが、個人的にはものすごく好きです。あと、ほかの人の役では、やはり内藤さんの豚です。猪八戒は楽しかったですね」
内藤「普通にやっただけだったのに、すごく気に入ってくれている人が多くて(笑)」
前田「ものすごくクセのある役でしたよね。若干イラっとする(笑)」

内藤「自分で演じた役では、やはり芭蕉さんが印象に残っていますね。残らざるをえないというところですが(笑)。芭蕉さんを気に入ってくださっている方も多いようで、あんないいところがひとつも無いような中年のおっさんの、どこがそんなに人気になるのか不思議でしょうがないのですが、うれしいですね。特に中学生とか高校生の女の子が、芭蕉と曽良のエピソードを気に入ってくれているみたいで」
前田「そんなに罵倒されたいんですかね(笑)」
内藤「あと、印象に残っているキャラはたくさんありますが、うさみちゃんやクマ吉くんも面白いですよね。人がやっている役はみんな面白いなって思います。何ででしょうね(笑)。ただ、もっとも印象に残っているのは猪八戒です。散々、芭蕉、芭蕉と言ってきましたが(笑)。記憶が定かではないのですが、おそらく『ギャグマンガ日和』に参加して、最初に収録したエピソードが猪八戒で、その後に芭蕉さんやほかのエピソードを収録した記憶があるんですよ。そういった意味でも猪八戒は印象に残っています。あのエピソードは、尺が足らず、『あと何秒巻かなきゃいけない』って言われていて、悟空や沙悟浄、三蔵法師様がすごいテンポ感で、ものすごい勢いで喋っている中、『ぶ~』ってのん気にやっていたという印象が残っています(笑)。やはりああいう役は楽しいですね」

矢部「僕は、自分の役では、タコタコ星人が好きでしたね、すごく可愛くて。悪い人なんだけど、やたらと気を遣っているところがあり、あと塩に弱いところとかがすごく好きで、気に入っています。あと、いろいろな人から言われるのはハリスですね。外国訛りといいますか、感情があまり入らない、コンピュータで作ったような感じのニュアンスで挑戦してみたところ、前田君もノッてきてくれて、二人で同じようにやったのがけっこう面白かったんですよ」
前田「一番最初に収録したバージョンが一番面白かったですよね」
矢部「掛け合いが全部カタコトなんですよ」
前田「ツッコミも全部英語訛りでやったんですよね」
矢部「ただ、前田君と二人でやっていたら、尺が足らなくなって、残念ながら前田君は普通にやってくれという話になって……」
前田「しかも三週間後ぐらい後ですよ。編集をやってみたけど入りきらなかったって言われて(笑)」
矢部「めちゃくちゃ面白かったんですよ。それが僕の中では印象に残っていますね」

伊藤「私がやった役では、浦島太郎の話で、一枚二枚と皿を数えるモダンダンスの悪いダンサーですね。あと、乙姫様に殴られるフグ子もやったんですけど、フグ子が殴られるのはちょっと気持ちよかったです。『痛い痛い痛い』って言ってたんですけど(笑)。あと、名塚ちゃんがやっていたセクハラする一休さん。あれ、個人的にすごく好きだったんですよ、目を血走らせながらね(笑)」
矢部「セクハラの神が降りてくるやつ」
伊藤「そうです、そうです。あれがたまらなくて、一緒にハァハァしてました(笑)」

名塚「自分の役だとちょっと選びにくいのですが、他の方が演じた中ですと好きなキャラは大林さんですね。『終末』※9 に出てきた演歌歌手です。『スッポンポンポコポンポコリン』の歌がどうしても耳から離れなくて(笑)。『終末』は全体的に好きなんですけど、その中でも大林さんはすごいインパクトでしたね。最後に取り戻そうとして、スッポンポンのまま演歌を歌おうとするところとかが、本当に面白いなって思いました」

※9 『終末』は、『ギャグマンガ日和』(第1弾)の第4話にあたる作品。平成17年度(第9回)文化庁メディア芸術祭の審査委員会推薦作品として東京都写真美術館でも上映された。当時、制作チームの中では、「本当に良いの!?」「これこそ『ギャグ』だね」といった会話が交わされていたとのこと。

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