阪神・淡路大震災15年特集ドラマ『その街のこども』(NHK総合 2010年1月17日 23:00~24:13放送予定)が27日、神戸市内でクランクアップを迎え、主演の森山未來、佐藤江梨子らが会見を行った。

左から、佐藤江梨子、森山未來。中央は神戸三宮・東遊園地にある「1.17希望の灯り」

震災15年目の1月17日の朝を迎えるまでの一晩の神戸を舞台に、幼いころに被災した男女の交流を描く同作品。震災当時、甚大な被害を受けた御影~三宮を夜を徹して歩く主人公2人の"誰にも語れずにいた震災への思い"が綴られる。震災の被害そのものにスポットを当てるのではなく、それぞれに忘れられない傷を負った被災者の心に迫る意欲作だ。

森山は10歳のころ、佐藤は13歳のころ、神戸市内の自宅で被災。ドラマの制作スタッフもほとんどが関西で震災を経験している。森山は「僕は震災の後も18歳まで神戸に住んでいて、中学、高校時代を過ごして街をはっきり覚えているので、神戸への思い入れはすごく強い。それは江梨ちゃんもスタッフもみんな同じなんです。すぐに『石屋川にはさー』なんてそれぞれの思い出話になってしまう。そういう神戸に対するみんなの思いが映像に表れていればいいなと思います」とコメント。「ロケで実際に神戸の街を歩いて、地元の方から言われて印象に残っているのが『神戸は震災の後、輝きを失った』という言葉。心も含めた本当の意味で街は復興したのか? と聞かれると即答できない人が多いと思う。では、震災後に生まれた子たちは輝きを失った神戸にいるのかといえばそれも違うような気がする。難しいですね……」と複雑な思いものぞかせた。

森山は昨年と今年のNHK震災特集に出演し、震災と向き合ってきた

「今の自分にしかできない作品に出会えたという気持ち」と佐藤

佐藤は「私の家は震災のあとすぐに大阪に引っ越したので、当時住んでいた街に帰ってくるのは久しぶり。懐かしさで胸いっぱいでした」と収録の感想を。「私のように震災の影響で神戸を出ることになってしまった人は周りにたくさんいた。被災者にもいろんな立場の人がいる。そんな人たちも違和感なく見てもらえる作品だと思います。震災のときに神戸にいた人が、こんなことを思っているんだということを感じてもらえるドラマなので全国のいろんな人に見て欲しい。私も正直なところ、自分の被災の経験はあまり口にしたくはないけど、体験を語ることも大事なことなんだと思います」と思いを語っていた。