映画『秋深き』の記者会見が大阪市内で行われ、映画初主演となる八嶋智人と妻役の佐藤江梨子が出席。撮影のエピソードなどを語った。

左から八嶋智人、佐藤江梨子

同作の舞台は大阪。『夫婦善哉』などで知られる昭和の文豪・織田作之助の短編小説をもとに"日本一の純情夫婦"の切ないラブストーリーが綴られる。マジメな中学教師・寺田(八嶋)は、思いを寄せるクラブのホステス・一代(佐藤)にプロポーズ。深い孤独を抱える一代はこれを承諾し、2人は夫婦となる。寺田は一代の過去の男性遍歴が気になり、嫉妬をエスカレートさせるが新婚生活は慎ましい幸せに満ちていた。そんな折、一代は寺田の大好きな乳房に痛みを覚え……。一途な愛を貫く男と、そんな男を大きな母性愛で受け止める女の、笑えて泣ける恋の物語を八嶋と佐藤が"オール関西弁"で演じている。

撮影中は夫婦さながらに仲睦まじかったという2人。八嶋は「カメラが回っていないときも、江梨子ちゃんがずっと寺田の大好きな一代という女性でいてくれたおかげで、僕もずっと寺田でいられました」、佐藤も「八嶋さんはいつもムードメーカーで、私のテンションが上がることを言って引っ張ってくださった。(一代のように)ああ、この人でよかった、寺ちゃん大好き! と思えました」と"夫婦愛"にどっぷりと浸っていたことを明かした。ただ、役に感情移入するあまりか「八嶋さんが何度も『チューしよ!』と言ってこられたのには困った(笑)」と佐藤。「『キスシーンまで待ってください』と遠回しに断ってたんですけど、キスシーンが終わってもまた『チューしよ!』と言うのでカチンと来まして(笑)」と話す佐藤に、八嶋は「怒ってたの? 初耳やで!」とうろたえてみせ、笑いを誘っていた。

「江梨子ちゃんが(共演の)佐藤浩市さんと写メ撮ったらプン! ってスネてました(笑)」と寺田になりきった八嶋

佐藤は一代について「無駄な言葉がない。素直に感情を出している人。ずっと感情移入してたし、大好きな役」と

本作は全編が関西ロケ。街ではまさに大阪ならではの反応もあったとか。「テストのときは現れないのに『本番!』とカメラが回ると必ず出てきて『ィヨッ!』と声をかけてながら拍手するおばちゃんに驚きました(笑)」(佐藤)、「東京の街で撮影してると映りたくないって人が多いんですけど、大阪では老若男女問わず『私出たいわ』と集まってくる。で、僕に『がんばりや!』ってアメちゃんをくれたりする(笑)」(八嶋)と、ときに度を超すほどの? フレンドリーさで知られる大阪人のギャラリーに困惑させられながらも「おもしろかった」と2人。加えて八嶋は「そういう大阪の空気感がこの映画に不可欠なものなので、ギャラリーのみなさんに助けられました」と振り返っていた。

また、劇中で佐藤の胸に触れる役得も経験した八嶋は「サトエリの男性ファンの方には大変申し訳なく思っておりますけども、それはそういう役なんですみません!(笑)でもね、演技をしてるときは夢中ですから感触なんてわかんないですよ! 今から思えば柔らかかった。そんな感じですかね?」と照れた様子を見せながら、「夢中でがんばる僕たちにエールを送って欲しいなと思います!」とサトエリファンにメッセージを。さらに、クランクアップ以来、久々に再会した"妻"に「再び愛が燃え上がっとります!」とラブコールを送ったが、佐藤に「それはないです(笑)」といなされ、「ほらね? 僕が行こうとしたらパン! とはねのける……」とヘコまされていた。

『秋深き』は、11月8日(土)から、東京・新宿シネマスクエアとうきゅう、大阪・梅田ピカデリー、京都・MOVIX京都、神戸・神戸国際松竹ほかで公開される。