米Googleは10月15日(欧州時間)、現在ドイツのフランクフルトで開催されている「Frankfurt Book Fair 2009」において新サービス『Google Editions』を発表した。これは電子書籍の販売に関するサービスで、携帯電話や電子ブックリーダーなど各種デバイスからの閲覧が可能になるという。2010年前半にも40万~60万冊のデジタルコンテンツが提供される計画だという。米Associated Press (AP通信)などが同日に報じている。

これはいわゆる"電子ブック"市場への参入を示すもので、同社が2004年より提供を開始している「Google Book Search」の延長にあたる。Google Editionの計画自体は今年6月にすでに各メディアによって報じられていたが、当初2009年内開始を目指していたサービスはGoogleが米国出版社協会(AAP)や作家連合と結んだGoogle Book Settlement (GBS)に抵抗する勢力により遅延を重ね、最終的な合意締結が2010年前半になる見込みなのを受け、現在のスケジュールが設定されたものとみられる。

デジタルアーカイビングが中心だったGoogle Book Searchに比べ、Google Editionsでは買い切りまたはサブスクリプションによるコンテンツ販売が可能になるため、出版社やコンテンツホルダーにとっては新たな収益源となる。デジタル配信・販売インフラを提供するというのがGoogleのスタンスだ。コンテンツ課金にはGoogle Checkoutが利用されるとみられる。

Googleでは現在、Web経由での電子ブック販売を行うと説明しており、携帯やスマートフォン以外のデバイス、例えば電子ブックリーダー等の提供や提携について発表していない。だが、米Amazon.comの「Kindle」のようなデバイスやサービスと、何らかの形で競合する可能性も考えられる。現在電子ブックの市場はKindleを中心に、ソニーの電子ブックリーダーなど、ごく限られた事業者のみが参入しており、価格決定力をこれら事業者に握られている点に不満を持つ出版社は多い。Googleの参入が、こうした勢力図に変化をもたらすことが期待される。