2009年7月22日。持続時間が21世紀最長と世界的な注目を浴びた今回の皆既日食。筆者もその瞬間に立ち会おうと、奄美大島を訪れた。

観測地としては皆既時間が3分を超える、島北部の太陽が丘総合運動公園グラウンドを選んだ。日食開始1時間前にはカメラのセッティングを終え、あとは日食が始まるのを待つばかり。グラウンドには前日までに各地から奄美大島へ入った天文ファンやカップル、家族連れが、レジャーシートや折りたたみ椅子を広げてくつろいでいる。

天気は、朝の8時頃までは晴れ間がのぞいていたが、9時を回る頃から薄い雲が空一面を覆い始めた。いやな予感が頭をよぎる。やがて、9時35分に日食の始まりの時。太陽の上(12時方向)から月が徐々に徐々に下方向へと進出し、太陽をまさに食うように隠していく。

このあたりでは薄曇ながら、日食メガネでもカメラでも欠けていく太陽の姿を確認できた。しかし50%ほど隠れた午前10時20分あたりから、薄かった雲が厚くなり、欠けている状態を確認しづらい状況になってきた。

食が進んでからは雲にさえぎられ、欠けている姿を判別できない写真しか撮れなかった。なのである程度わかるのは欠け始めの頃の写真のみ。それでも手前には薄い雲があり、光がぼやけているのがわかる

午前10時25分、「皆既日食まであと30分」のアナウンスがグラウンドに流れる。ここから先は、厚い雲で太陽の形もほとんど確認できないようになってしまった。部分日食が80%を超えた頃から周囲は薄暗くなり始めたが、やはり太陽は厚い雲から姿を現さない。

そして午前10時55分。「皆既日食10秒前」のアナウンスが流れ、あたりが一瞬にして暗くなった。グラウンドからは一斉に拍手が沸き起こる。肝心の太陽と月は雲の向こうに隠されて見えなかったが、真昼なのに日の出直前あるいは日没直後のような暗さに覆われ、水平線近くの低い空だけが明るく染まった。

皆既日食になった瞬間、あたりが急激に暗くなる。真っ暗とまではいかないものの、それはもう不思議な体験だ。水平線に近い部分だけに光が残るのも皆既日食独特の不思議な現象

3分強の皆既日食時間が終わり、厚い雲の向こうに太陽の光が戻ってくる。グラウンドからはふたたび拍手。さすがに人々の顔や背中からは脱力感が漂ってきたものの、太陽が完全に隠れる瞬間に遭遇するという、稀有な体験には皆それなりの感動があったようだ。(詳報は追って掲載いたします)