不況でも大人気、不動の国民食フィッシュ・アンド・チップス

フィッシュ・アンド・チップスは、言わずと知れたイギリスを代表する料理である。イギリス料理はあまりおいしくないと聞いていても、「イギリスを旅行したら、ぜひ本場のフィッシュ・アンド・チップスだけは味わいたい! 」と思っている人は、案外多いのではないだろうか。

イギリスといえば誰もが知ってるフィッシュ・アンド・チップス。不況でも売り上げは上がっているという

業界団体シー・フィッシュ(Seafish)によると、イギリス全国の10,500のフィッシュ・アンド・チップス店で、年間合計2億7,600万食ものフィッシュ・アンド・チップスが売れているという。英国人口は2008年のデータで約6,000万人なので、国民の6人に1人が最低週1回フィッシュ・アンド・チップスを食べている計算になる。

昨今の世界不況の真っ只中でもイギリスでのフィッシュ・アンド・チップスの人気は衰えず、むしろ売り上げが伸びているというデータもある(2009年1月にシー・フィッシュに掲載された記事によると、全国9,500のフィッシュ・アンド・チップス店で前年比1.7%増とのこと)。なぜこれほどイギリス人に愛され、支持されているのだろうか。

フィッシュ・アンド・チップスは歴史的な背景もあるが、もともと労働階級の日常食だった。その名残からか、安価なファースト・フード、テイクアウトではわら半紙に包まれるイメージが強い(実際、今でもあるが)。だが時を経て、今やフィッシュ・アンド・チップスはレストラン・メニューに名を連ね、値段的にも"ちょっと高級感のあるファースト・フード"としての地位を確立している。

不況でも売り上げが全く落ちない点について、「レストランに行くのを控えても、フィッシュ・アンド・チップスは食べたいと考えている人が多い。ささやかな贅沢を楽しみたいという気持ちの現れではないか」と、シー・フィッシュは分析する。